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  1. 宮城県議会 2022-11-01
    12月02日-03号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 4年 11月 定例会(第386回)          第三百八十六回宮城県議会(定例会)会議録                              (第三号)令和四年十二月二日(金曜日)  午前十時開議  午後二時四十五分散会      議長                     菊地恵一君      副議長                    池田憲彦君出席議員(五十六名)        第一番                  金田もとる君        第二番                  佐々木奈津江君        第四番                  石田一也君        第五番                  佐藤剛太君        第六番                  伏谷修一君        第七番                  松本由男君        第八番                  柏 佑賢君        第九番                  福井崇正君        第十番                  大内真理君       第十一番                  福島かずえ君       第十二番                  三浦ななみ君       第十三番                  枡 和也君       第十四番                  佐藤仁一君       第十五番                  渡邉重益君       第十六番                  わたなべ 拓君       第十七番                  伊藤吉浩君       第十八番                  八島利美君       第十九番                  瀬戸健治郎君       第二十番                  櫻井正人君      第二十一番                  村上久仁君      第二十二番                  高橋宗也君      第二十三番                  天下みゆき君      第二十四番                  三浦一敏君      第二十五番                  佐々木功悦君      第二十六番                  境 恒春君      第二十七番                  太田稔郎君      第二十八番                  遠藤伸幸君      第二十九番                  横山のぼる君       第三十番                  高橋 啓君      第三十一番                  庄田圭佑君      第三十二番                  遠藤隼人君      第三十三番                  渡辺勝幸君      第三十四番                  横山隆光君      第三十五番                  佐々木賢司君      第三十六番                  守屋守武君      第三十八番                  池田憲彦君      第三十九番                  熊谷義彦君       第四十番                  岸田清実君      第四十一番                  渡辺忠悦君      第四十二番                  菅間 進君      第四十三番                  坂下 賢君      第四十四番                  ゆさみゆき君      第四十六番                  吉川寛康君      第四十七番                  伊藤和博君      第四十八番                  佐々木幸士君      第四十九番                  高橋伸二君       第五十番                  菊地恵一君      第五十一番                  佐々木喜藏君      第五十二番                  石川光次郎君      第五十三番                  中島源陽君      第五十四番                  本木忠一君      第五十五番                  中山耕一君      第五十六番                  安藤俊威君      第五十七番                  畠山和純君      第五十八番                  藤倉知格君      第五十九番                  中沢幸男君欠席議員(二名)      第三十七番                  外崎浩子君      第四十五番                  仁田和廣君欠員(一名)        第三番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    遠藤信哉君      副知事                    池田敬之君      公営企業管理者                佐藤達也君      総務部長                   志賀真幸君      復興・危機管理部長              佐藤達哉君      企画部長                   千葉 章君      環境生活部長                 佐藤靖彦君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   宮川耕一君      水産林政部長                 吉田信幸君      土木部長                   千葉 衛君      会計管理者兼出納局長             冨田政則君      総務部参事兼秘書課長             相澤一行君      総務部財政課長                大町久志君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      副教育長                   嘉藤俊雄君    選挙管理委員会      委員長                    皆川章太郎君      事務局長                   後藤和隆君    人事委員会      委員長                    西條 力君      事務局長                   千葉幸太郎君    公安委員会      委員長                    山口哲男君      警察本部長                  原 幸太郎君      総務部長                   佐藤孝治君    労働委員会      事務局長                   小松直子君    監査委員      委員                     吉田 計君      事務局長                   武内浩行君-----------------------------------    議会事務局      事務局長                   阿部正直君      副事務局長兼総務課長             藤田信治君      議事課長                   菅原敏彦君      参事兼政務調査課長              川村 満君      総務課総括課長補佐              堀 喜昭君      議事課副参事兼総括課長補佐          二上秀幸君      政務調査課副参事兼総括課長補佐        千葉恵子君      議事課長補佐(班長)             我妻則之君      議事課主任主査(副班長)           狩野嘉孝君-----------------------------------    議事日程 第三号                 令和四年十二月二日(金)午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百七十八号議案ないし議第二百六号議案及び報告第三十六号ないし報告第三十九号第三 一般質問    〔伏谷修一君、高橋宗也君、三浦ななみ君、柏佑賢君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百七十八号議案ないし議第二百六号議案及び報告第三十六号ないし報告第三十九号三 日程第三 一般質問    〔伏谷修一君、高橋宗也君、三浦ななみ君、柏佑賢君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(菊地恵一君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(菊地恵一君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に九番福井崇正君、十番大内真理君を指名いたします。----------------------------------- △議第百七十八号議案ないし議第二百六号議案 △報告第三十六号ないし報告第三十九号・一般質問 ○議長(菊地恵一君) 日程第二、議第百七十八号議案ないし議第二百六号議案及び報告第三十六号ないし報告第三十九号を議題とし、これらについての質疑と日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。六番伏谷修一君。    〔六番 伏谷修一君登壇〕 ◆六番(伏谷修一君) 皆さんおはようございます。自由民主党・県民会議の伏谷でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問させていただきます。 今朝は、一般質問があるので緊張のせいか、朝三時半に目覚めてしまいました。別の意味で徹夜や早起きをしている、感動と興奮を共有していた県民の皆様も多かったのではないかなと思っております。二〇二二カタールワールドカップ大会前、誰もが想像していなかった、ドイツ、スペインを押しのけてのグループ一位通過、ワールドカップ日本代表のすばらしい勝利に感謝するブラボーの気持ちを胸に、質問に入りたいと思います。 村井県政は、五期目を迎えた令和四年二月定例会において、令和四年度当初予算、社会全体で支える宮城の子ども・子育て、若者の活躍推進のための基金、次世代育成・応援基金造成費として十億円など、宮城の未来を育むハートフル予算を計上し、次世代に向けた宮城丸の羅針盤の方向づけを明確にしたとの認識です。十一月二十二日、いい夫婦の日の新聞に、環境重視の姿勢明確化、富県の先に十七年目の村井県政を検証した記事が掲載。県の元幹部職員が、テレビニュースに映る知事村井嘉浩に思わずおっと声を上げたとあり、県内で進む大規模風力発電をめぐり、市民団体が県庁訪問した際、反対署名と要望書を知事らが受け取ったことに驚きを示し、従来であれば副知事の対応、随分スタンスが変わったなと思ったようで、相場感を覆す村井知事の振る舞いをこう述懐していました。私も知事要望への同行を二度ほど経験しましたが、たまたま二回とも副知事の対応だったので、要望対応は副知事の仕事かと思っていたところです。記事の続きに、知事は環境保護の意識の高まりに耳を傾け、新税が実現すれば都道府県では初めて、新型コロナ感染者全数把握簡略化、話題となっている孫の育児支援を目的とする県職員の休暇制度、孫休暇の創設と同様、知事が施行する全国モデル発信の流れに位置するとしている内容でした。孫休暇は対象者が限られている、サポートする側、される側、それぞれの家庭の事情に配慮すべきなど様々な意見がありますが、知事が体験、経験したことでの子育て支援は、百聞は一見にしかず、どんどん進めていかれてはとの思いでございます。私が村井知事に初めてお会いしたのは、村井知事は多分記憶にはないと思いますが、一期目の知事選挙の多賀城市での個人演説会前でした。当時三人ほど集められまして、候補者と意見交換する場面の撮影で、たしかNHKのカメラが入った取材だったか十七年前のことなので定かではないのですが、そのとき知事になられたら真っ先に取り組むことはと伺ったところ、第二の故郷宮城の足腰を強くしたいとお答えになったことを覚えています。当選後は、平成十九年三月に宮城の将来ビジョン、富県宮城の実現のために、県内総生産十兆円の挑戦を掲げ、その後目標を達成したことで、有言実行の知事の政策に魅力を感じていたこともありました。記事の続きには、富県戦略五期目のスタートから一年、人口減少への強い危機感に端を発した少子化対策への注力に加え、関心は新たな県政課題に転進するとの見解でした。子育て支援を大きな柱に据えた、新・宮城の将来ビジョンにある県政運営の理念、富県躍進!PROGRESS Miyagiには、十年後に目指す宮城の将来像を実現し、更にその先、私たちの子や孫の代まで、宮城で安心して暮らすことができる持続可能な未来を実現していくために、政策推進に向けた横断的な視点、人づくり、地域づくり、イノベーションの創出の視点とあり、人づくり、地域づくりに重心を置かなければ、持続可能な未来など訪れることはありません。更には、PROGRESS Miyagiの理念を実現するために掲げた民の力を生かした県行政運営、時代の変化に対応する行財政運営、市町村とのパートナーシップ、広域的な視点に立った行政、四つの県行政運営の基本を基に施策を展開するとあります。特に民間の力の活用と、県と基礎自治体とができることのすみ分けを今まで以上に精査していくことが必要で、更なる選択と集中の下、財政確保に奮闘したこれまでの実績を、まずは十年後の飛躍のためにウイングを広げていかなければならない事業、特に環境福祉と観光振興の分野について、知事の視線で身の丈に合った政策の実現を望む観点から、以下の点について質問させていただきます。 大綱一点、県の観光これからについて。 県内のコロナ感染者は、昨日三千七百十名と高止まりで推移している状況で、本格的な冬の到来の今後のインフルエンザとともに、感染者の増加に危惧するところであります。十月から再開した国の観光支援策全国旅行支援を多くの方々が利用することは、事業費として、国費充当分五十六億七千万円を積み増ししていることからも、実態が見えているところです。仙台圏の温泉旅館に限らず、周辺自治体のビジネスホテルに宿泊して、観光スポットをめぐった後、宿泊地周辺の飲食店で食事を取る来訪者も多く、仙台港周辺のアウトレット施設の駐車場は、平日でも県外ナンバーの車も見かけられ、にぎわいの一端が見えて一部安堵するところではありますが、まだまだ緊張感を持って対策を講じるべきとの思いです。そうは言っても、年末年始に向けて現時点では移動に規制をかけることが難しくなるので、準備を怠らないよう進めていかなければなりません。また、先日のニュースには、台湾の航空会社エバー航空が、二〇二〇年三月以降仙台空港発着の国際線全ての定期便で休止が続いていた中で、仙台空港と台北を結ぶ定期便を二〇二三年一月に再開させる方向で調整しているとの報道があり、インバウンドの再開につながる明るい兆しとなっています。これらのことからも、次年度以降の宮城の観光を考えたとき、観光には歴史に基づくストーリー性を持たせることが次のチャンネルづくりに欠かすことのできないポイントになると思います。この夏、甲子園球場で開催された全国高校野球選手権において、東北人の悲願でもあった全国優勝を成し遂げ、深紅の優勝旗があの白河の関を越えた瞬間、言いようもない感情があふれてきました。コロナ禍で疲弊している我々県民の気持ちを豊かにしてくれた大きな出来事となりました。白河の関以北は、東北、陸奥国の玄関、東道を北上すれば、多賀城政庁への道となります。仙台育英学園が優勝した背景には、政庁跡を見上げながら白球を追いかけ修練してきた結果であり、宮城県制百五十周年に優勝できたことは偶然ではなく、必然であったのだろうとの思いです。二〇二四年の完成を目指し、復元さなかの多賀城南門建設工事は最終段階に入り、足場を取り外す前に瓦を葺いた屋根を会派の一期生で視察、進捗状況を確認してまいりました。朱雀色に塗り上げた柱も見事で、葺いた瓦を保護する工夫も当時の工法を用いており、完成後は、三陸自動車道を走行中の車からも抜群のビューポイントとなり、宮城の新たなランドマークの一つになることは間違いないと確信しております。今定例会の知事説明要旨で述べられたように、令和六年の創建一三〇〇年に向け、一帯の環境整備を進め、古代の姿をよみがえらせることで東北の政治文化の中心地であった歴史的価値を広く伝えるとともに、観光資源としても大きな発信力を有するものとなるよう、多賀城市と連携しながら整備を進めていくとの意気込みも強く感じ取ったので、次の点について伺います。 一点目に、南門、築地塀などの復元整備を伴う周辺道路の整備についてお伺いいたします。 宮城県多賀城跡調査研究所が多賀城創建一三〇〇年を記念して整備を進めている特別史跡多賀城跡附寺跡政庁南面地区政庁南大路に続き、その東側の古代役所官衙エリアの復元整備が一部完了し、あずまやなどを活用してイベントも開催されており、一般供用を開始している南門北側の政庁南大路と、南門南側の南北大路の整備を県と市が一体となって大路整備を行い、市道新田浮島線で分断されている道路整備を進めていくことが最も重要と考えております。とはいえ、地域住民の皆様に発掘調査など多方面にわたり協力いただいていることも考慮しなければならず、現在関係する地域・市川地区にお住まいの方の声を伺うためのまちづくり会議が発足しているので、ハードルの高さを少しずつ低くするために丁寧な対応をしながら理解を求めていくことについて、所見を伺います。 二点目に、県道加瀬沼公園線モリリン加瀬沼公園を始点に、市道名古層線となり、市川橋まで総延長約八百二十メートルと短く、イレギュラーな面をのぞかせています。利府方面への交通量も大型商業施設の増築に伴い激増していることなど、週末の来訪者が増加していることもあるので、一日も早く県道に昇格し、県道泉塩釜線に接続していくことで、塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町、松島町、利府町の観光地としての核づくりができ、交流人口の増加を図るために必要な整備と考えていますが、所見をお伺いいたします。 三点目に、東北歴史博物館について伺います。 令和元年十月四日に開催されました第三十五回太宰府市民政庁祭りにお招きいただき、元号令和のゆかりの地となった坂本八幡宮・太宰府天満宮を参拝、隣接する九州国立博物館を見学する機会がありました。まだコロナ禍前であったため、観光客の多さに圧倒されたことを記憶しています。九州国立博物館は二〇〇五年に開館し、初年度の来場者は二百二十万人、令和元年には二千万人近くの来場者が訪れたようで、案内いただいた太宰府市役所職員の方へ伺うと、国立博物館が観光客の大幅な伸びの一番の要因になったという話をしておりました。現在、国立博物館は、東京都、京都府、奈良県、福岡県に十三施設あります。展示の内容には触れませんが、悠久の歴史に思いをはせれば遠の都と称される西の太宰府に九州国立博物館があるのであれば、東の多賀城にあってもおかしくないと歴史は物語っています。前多賀城市長は事あるごとに東北歴史博物館国立博物館に、との思いを市民に伝えていましたが、今後の課題として県の考えを伺います。 四点目に、大伴家持ゆかりの地で開催されている令和の万葉大茶会が鳥取県鳥取市で開催されました。これは、二〇一九年六月に長野県北佐久郡軽井沢町で、G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合が開催され、エネルギー大臣環境大臣合同会議において、G20軽井沢イノベーションアクションプランの合意が図られたことを契機に、環境大臣が水素エネルギー普及の一環として、令和元号の由来となった大伴家持が催した宴の地、坂本八幡宮にあやかり、旅人の息子大伴家持の赴任地を含む関連八自治体で、水素エネルギーで沸かしたお湯を用いて茶会を実施することとなり、第一回は東京都知事を招いて浜離宮恩賜庭園、第二回は富山県高岡市、第三回は鳥取県鳥取市、来年は福岡県太宰府市、そして二〇二四年は多賀城市開催の運びとなり、二〇二五年には大阪万博を会場として世界へ発信する計画が進行中です。私も東京の浜離宮と鳥取大会に参加させていただき、回を重ねるごとの開催地の盛り上がりを、宮城の地でも広げていきたいと感じているところです。現在、カーボンニュートラル、脱酸素社会の構築を目指す宮城県は、水素エネルギー普及活動に全県挙げて取り組んでいるところからも、この事業の目的を理解して取り組んでいかなければならないと思っております。鳥取市での式典では、全国知事会会長でもある平井伸治鳥取県知事が、万葉集の中から家持が詠んだお好きな歌を披露して、会場を沸かせていました。PROGRESS Miyagi、十年後の宮城の観光地に求められることは日本の言葉、最近では、俳句をテーマにしたテレビ番組の視聴率も高く、五・七・五に込める言葉を探している若者も多いと聞いています。俳句・短歌・和歌の聖地巡礼、ぜひ万葉集編さん者・大伴家持の終えんの場となった宮城の地を周知していただき、観光客の誘客に生かすべきと考えますが、所見を伺います。 五点目に、アフターコロナ観光支援策には県独自の恒久的な財源確保がなければ、今まで述べたことの具現化は困難と見ています。観光振興の財源確保策として導入を目指していた宿泊税は、新型コロナウイルスの影響で関連条例案が取り下げられましたが、宮城県経済の発展のための観光振興政策の財源確保は宿泊税なのか、それともその他の手段を考えるのか。どちらにしても、アフターコロナの重要な課題の一つとして捉えていかなければならないと考えています。県の財源確保の方向性について伺います。 大綱二点、東日本大震災復興事業完了後の整備課題について伺います。 都市計画道路の現在の計画は、高度成長期に計画しているため、都市部への人口過多、地方からの流出といった歯止めがかからない人口減少などの社会構造の変化に即したものとなっておらず、宮城県の未着手の路線も平成二十八年三月時点において、未着手率三五・七%にとどまっています。県内自治体の都市計画道路の見直しの意向を踏まえた平成三十年三月に改定したガイドラインに沿った計画が現在どのように進められているか、伺います。 また、東日本大震災の影響で激変している津波震災地域における復興計画の中で実施してきた新たなまちづくりの形成後の都市計画道路の位置づけがどのように変化しているか、併せて伺います。 浸水地域の自治体における都市計画道路未着手の区間は、災害を想定しての避難路としての整備、あるいは物資の搬入を円滑にするための整備を行ってまいりました。貿易港としての機能を有する仙台新港、それに関連した製造業・物流業などの受皿となっている仙台新港背後地の整備課題は山積しています。それは、道路と新たな土地の活用で起こる問題です。仙台新港は、国道四十五号と県道二十三号仙台塩釜線、通称産業道路の二本が東西線として、主要なアクセス道路となっています。震災時に、この二本の道路とJR仙石線が車の避難を遮断したため、北への避難路として二本の避難路・物流路が整備されましたが、新たな課題が発生しています。令和二年に開通した避難路・物流路、清水沢多賀城線は交通量が激増し、朝夕の時間帯はもとより大型ダンプ、車やコンテナを乗せた大型積載車など、想定を超えた車の往来があり危険な状態にあるため、都市計画道路としての従来の計画どおり、泉塩釜線に接続する声が日々高まっています。この工事の優先順位を高めることで、国道四十五号から仙台港北インターチェンジの渋滞緩和だけではなく、泉塩釜線から多賀城インターチェンジへの利用を促すことが求められています。なぜならば、昨年二月に発生した、宮城でも震度六強で甚大な被害に遭った福島県沖地震時、避難しようとしている車が清水沢多賀城線に集中したことで、避難路としての機能不全となったことを教訓として早急な対応が必要と考えますが、県の考えをお伺いいたします。 また、公表された宮城県の新しい津波浸水区域は、東日本大震災と同じ東北地方太平洋沖と日本海溝、千島海溝で起きる三つの巨大地震についての津波のシミュレーションを行い、それぞれの想定結果の中で最も規模が大きいものを地域ごとに選び、防潮堤が壊れ、満潮の時間帯に発生するなど、悪い条件が重なった場合を考慮して、津波の高さや浸水の範囲を想定しており、浸水する面積は、震災発災時の一・一九倍に当たる三百九十一平方キロメートルに上り、多賀城市が震災の一・八七倍の十一・二平方キロメートルと想定されたことで、避難路整備への関心が増していることから、補助率の高い優位な財源を活用できるメニューを探していただき、整備の優先順位を上げるべきと考えますが、所見を伺います。 次に、震災後の仙台港背後地立地企業へSDGsの理念に基づいた脱炭素社会の実現に向け、環境配慮の取組や近隣住民と共生していくことを求める声は、県、国、世界の共通認識となっています。震災後、多くの企業は津波被災地での事業再開を検討し、事業を継続した企業、やむなく撤退する企業もあったため、跡地の活用として災害瓦礫の保管場所など一時的に利用した後の土地活用が大きく変化してきました。仙台新港が貿易港のため、背後地はストックヤードとしての自動車メーカーの新車置場、輸出入のロジスティックス倉庫、リサイクル資源の集積場など、製造業が移転したこともあって、様変わりしました。これからの企業は、前述したように地球環境への配慮が求められ、そうした理念を共有していることを前提に、企業間のこれからに取り組んでいくと思われます。特に、循環型社会でのリサイクル資源に関する事業者の進出は、利便性を考えると仙台港隣接地域を適地として保管場所を有しています。地域住民からは、事業者へ危険を伴わない保管、粉じん・噴煙など環境に配慮することを求める声が届いております。以下の点について県の見解を伺います。市議会議員時代に、再生資源物の屋外保管に関する件で、平成二十六年頃、隣接地域にお住まいの方々から多くの相談を受けてきました。ストックヤードに高く積み上げられた資源物の危険性、作業時に飛散する粉じん、土壌汚染、騒音、悪臭などが主な理由ですが、現地に赴くと想像以上に圧迫感を感じ、住民の日常生活にも支障を来していることが確認できたため、行政サイドに対応を求め、塩釜保健所・多賀城市が実態状況を確認して、現在に至るまで幾度となく改善を事業者へ求めてまいりました。また、再生資源物は有価物として取引されるため、産廃物の処理及び清掃に関する法律の規制対象とならないことは承知しています。しかしながら、当該事業場は、工業専用地域に立地していることから、騒音及び振動に関しては規制対象とならず、大気汚染防止法の規制対象施設もないほか、有価物については廃棄物の処理及び清掃に関する法律の対象とならず、保管に関しても直接規制する法律がないことから、お願いベースの申入れを繰り返すことしかできていません。循環型社会形成の中で、企業の社会的責任を問われる中、このような問題をどのように捉えているか、見解をお伺いいたします。 千葉県千葉市は、市街化調整区域を中心として多くの再生資源物の屋外保管施設が存在しており、操業に伴う同様の問題が生じているなど、地域住民の生活に支障を来す状況が発生し、千葉市では市民生活の安全の確保及び生活環境の保全を図ることを目的として、再生資源物の屋外保管を行う者が守るべき義務など、必要なことを定めた千葉市再生資源物の屋外保管に関する条例を、令和三年十一月一日から施行しています。原則、事業者は屋外事業場ごとに許可を受けなければなりません。許可の有効期間は五年となります。許可を取得せず設置・使用した場合、無許可の設置となり、罰則の対象となる可能性があり、効果があると聞いております。時代に即した条例制定と考えていますが、見解を伺います。 以上、最初の質問といたします。御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 伏谷修一議員の一般質問にお答えいたします。大綱二点ございました。 まず、大綱一点目、県の観光政策についての御質問にお答えいたします。 初めに、多賀城市道名古層線の県道昇格と県道泉塩釜線への接続についてのお尋ねにお答えいたします。 多賀城創建一三〇〇年に向けて、南門などの復元工事が進む多賀城政庁跡の周辺地域は、三陸自動車道の全線開通に加え、利府町内における大型商業施設等の立地などにより、今後、交通量の増加や交通の流れが大きく変化することが想定されます。現在、県道加瀬沼公園線から政庁跡周辺に至る道路としては、利府町道在加瀬線及び多賀城市道名古層線がございます。これまで県では市町からの要望を踏まえ、これら市道の県道認定と併せて、県道泉塩釜線への接続について検討を行ってきたところでありますが、特別史跡に指定されている地域のため、地形の改変が難しいという課題があり、調整に時間を要しておりました。県といたしましては、今後の交通状況の変化等を確認するとともに、政庁跡周辺の道路ネットワークの在り方も踏まえながら、当該路線の県道昇格及び今後の整備について、関係市町の御意見も伺い、前向きに検討を進めてまいります。ブラボーでございました。 次に、大友家持に着目した観光誘客についての御質問にお答えいたします。 万葉集の編さんに深く関わったとされる万葉歌人大伴家持は、天応二年、西暦七八二年、六十五歳のときに多賀城に赴任したとも言われ、現在、多賀城市文化センターの中庭には家持の歌碑が立てられております。家持とゆかりの深い多賀城市において、多賀城創建一三〇〇年の記念すべき年である令和六年に、令和の万葉大茶会が開催されることは大変意義深く、茶道関係者にとどまらず、短歌・俳句愛好家など多くのファンが訪れるものと期待しております。県といたしましては、多賀城創建一三〇〇年記念事業実行委員会に参画し、各種記念行事の広報宣伝などに積極的に関わっていくほか、大伴家持をテーマとする吟行ツアー造成を旅行会社に働きかけるなど、多賀城市等とも連携しながら、市内に数多く残されている歌枕を活用した観光誘客にしっかりと取り組んでまいります。 次に、県の観光振興施策の財源確保の方策についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の流行による旅行ニーズの多様化や旅行者志向の変化への対応とともに、今後急速に進展する人口減少を見据え、観光による交流人口の創出・拡大を図っていくことが必要であると認識しており、その施策の実現に向けた安定的な財源の確保は重要な課題と捉えております。県といたしましては、依然として新型コロナウイルス感染症の先行きが不透明であることから、第五期みやぎ観光戦略プランにおいて、宿泊需要喚起やアフターコロナを見据えた受入れ環境整備等に取り組み、まずは感染症流行前の水準まで回復させることを目指していくこととしております。今後の観光振興施策の実施に向けた財源につきましては、引き続き国に対し財政支援を要望するなど、安定的な財源が確保できるよう努めてまいります。 次に、大綱二点目、東日本大震災復興事業完了後の諸課題についての御質問のうち、都市計画道路清水沢多賀城線についてのお尋ねにお答えいたします。 都市計画道路清水沢多賀城線は、多賀城市町前の国道四十五号と利府中インターチェンジを結び、仙塩広域都市計画区域において、南北軸を形成する全長約六・九キロメートルの主要な幹線道路であります。このうち、国道四十五号からJR東北本線国府多賀城駅までの約一・九キロメートル区間は、多賀城市道として整備が完了しておりますが、JR東北本線との立体交差部を含む利府中インターチェンジまでの約五キロメートル区間は未整備となっております。現在、仙塩東部地区の塩竈市、多賀城市、利府町においては、当該未整備区間を含め長期未着手となっております都市計画道路の見直しを行っており、県が実施した仙台都市圏パーソントリップ調査の結果を基に路線見直しに対する周辺への影響や地域が抱える課題について検討を進めているところであります。その中でも、JR東北本線との立体交差部を含む県道泉塩釜線との接続については、仙台塩釜港へのアクセスや内陸部への避難道路としての重要な役割を果たすものと認識していることから、県といたしましては、引き続き二市一町が行っている都市計画道路の見直しを踏まえながら、優先順位も含め、多賀城市とともに事業化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 環境生活部長佐藤靖彦君。    〔環境生活部長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎環境生活部長(佐藤靖彦君) 大綱二点目、東日本大震災復興事業完了後の諸課題についての御質問のうち、再生資源物の屋外保管についてのお尋ねにお答えいたします。 東日本大震災以降、仙台港隣接地域を中心に、金属スクラップ等の再生資源物を取り扱ういわゆるリサイクル事業者が進出しておりますが、一部の事業者について屋外保管や操業に伴う騒音、振動、粉じんに関する苦情が市町や県に寄せられているところです。有価物である金属スクラップは、廃棄物処理法に規定する規制の対象外であるため、用途地域や施設の種類によって法令等に基づく直接的な規制はできない状況にありますが、住民の生活環境に影響を与える地域においては、周辺環境に最大限配慮していただく必要があると認識しております。県といたしましては、他地域において事業者と地域住民との間で環境保全協定を締結している事例もあることから、こうした事例なども参考に、今後とも騒音や振動の規制を所管する市町村と連携し、周辺環境に配慮した操業が行われるよう、事業者に働きかけてまいりたいと考えております。 次に、再生資源物の屋外保管に関する条例に対する認識についての御質問にお答えいたします。 千葉市における再生資源物の屋外保管に関する条例は、市街化調整区域を中心として、屋外保管事業場が急増し、操業に伴う騒音・振動や不適切な保管による火災などの問題が発生したことから、地域住民から市議会に対し請願があり、昨年制定されたものと承知しております。当該条例は、鉄筋・鉄骨などの金属スクラップ等の屋外保管事業場の設置に許可制を導入し、保管基準を定め、違反した場合の罰則のほか、周辺住民等への説明会の義務化等を規定しており、保管状況の改善を図るという点で効果が期待できるものと認識しております。県といたしましては、まずは、県内における屋外保管事業場の実態を把握した上で、千葉市等の先行自治体の状況も参考にしながら、住民の生活環境保全上の課題に対する対応について検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、東日本大震災復興事業完了後の諸課題についての御質問のうち、都市計画道路の見直しと沿岸被災地における位置づけについてのお尋ねにお答えいたします。 長期にわたり、事業未着手となっている都市計画道路については、近年の人口減少や土地利用などの社会情勢の変化に伴い、その必要性や実現性に変化が生じている道路もあることから、県では、平成三十年三月に都市計画道路見直しガイドラインを改定し、市町村が実施する都市計画道路の見直しに対して技術的助言などの支援を行っているところであります。これまで都市計画道路を有する三十一市町村のうち十五市町で作業が完了し、現在、多賀城市など五市町で見直しを進めております。また、東日本大震災を契機として、被災市町では復興まちづくりとあわせて、新たな市街地との結節や内陸部への避難機能を有する道路を都市計画に位置づけるなどの見直しを行ってきたところであります。県といたしましては、今後も更なる人口減少社会の進行が見込まれることから、沿岸市町をはじめとする各市町村のまちづくりの在り方や将来交通量を十分把握しながら、適切な都市交通網の形成に向けて、市町村とともに取り組んでまいります。 私からは、以上であります。 ○議長(菊地恵一君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、県の観光政策についての御質問のうち、多賀城南門の復元に伴う周辺道路の整備についてのお尋ねにお答えいたします。 現在、多賀城創建一三〇〇年を迎える令和六年に向け、県と多賀城市が連携して特別史跡多賀城跡の環境整備事業を行っているところですが、御指摘のように多賀城政庁から外郭南門に続く政庁南大路が市道によって分断されていることは、大きな課題と認識しており、以前より、県と市ではよりよい形で一体的な環境整備を行うために、情報共有や意見交換を行ってまいりました。特に、当該市道を含め周辺道路の整備の在り方については、多賀城市において地域住民と話合いを行いながら検討が進められているところですが、通学路やライフラインの再整備に関する課題を解決していく必要があるものと認識しております。県教育委員会としましては、引き続き市の検討状況を把握するとともに、特別史跡多賀城跡が東北を代表する観光拠点となるよう史跡内における整備の在り方について、土木部とも連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、東北歴史博物館国立博物館にすべきとの御質問にお答えいたします。 多賀城市が従前から東北歴史博物館国立博物館に移行してはどうかとのお考えを持たれていたことは承知しております。新たに国立博物館を誘致するためには、まずは地元である多賀城市や県内はもとより東北全体の機運の醸成が不可欠であるほか、財源の確保や関係機関等との調整が必要になるなど、実現には多くの課題があるとして認識しております。県教育委員会としましては、令和六年に迎える多賀城創建一三〇〇年に向け、引き続き多賀城市や関係機関と連携・協力しながら、機運を高めるとともに、県が進める政庁跡から南門に至る地区の整備と多賀城市が進める南門等の復元により、往年の威厳と広大さをよみがえらせ、特別史跡多賀城跡の魅力を県内外に広く発信していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 六番伏谷修一君。 ◆六番(伏谷修一君) 御答弁ありがとうございました。何点かについて再質問させていただきます。知事からもあったんですけども、やはり多賀城の整備というのは、どうしても特別史跡に入っているということで、まずそこで一つ目の壁ができてしまう。ここ五十年、発掘調査の進捗状況とともに考えるという、そういう話が出てくるんですが、この発掘調査というのはどのぐらいかかるんですかと伺ったときに、百年以上かかると。天文学的な時間がかかるのではないかなという方もいらっしゃいます。その中で、いろいろと住んでる方々もやはり状況が変わっているということなので、多賀城の南門をつくったということも、どういうことでつくったのかという経緯があって、私は本当に南門、できるのかなと考えておりました。これは、多賀城が三十年前に計画していた中での、多賀城にこれだけの整備をやっていくんだというアドバルーン的な要素があってのものかなあと。実際それをつくるまでにはどれだけ大変なんだということが、そこに財源も含めてあったので、できるかできないか。できないものだという認識でおりましたが、関係各位の御努力のおかげで南門の復元工事が今進捗して、もう完成間近でございます。PROGRESS Miyagiの感覚から言えば、やはり十年後のあるべき姿というところを、いろいろ観光として捉えた場合に、私、経済商工観光委員会だったのですが、そこでの議論の中に必ず出てくるのは、伊達な文化ということでの宮城の紹介をするんですが、伊達と言うと、涌谷町であっても亘理町であっても、伊達と言われたらみんな仙台市というイメージで、宮城県がなかなか出てこないなと常々思っております。今、教育長からもあったんですけども、多賀城が創建一三〇〇年ということで、東北だけではなく全国から関連する自治体が集まってくるので、これを契機に今の博物館であるとか、そういう考えをみんなで共有して話し合う、そういうテーブル設定が初めてできるのかなという認識でございます。今、多賀城市と県が一体となって協力をしながら整備していることは重々承知なんですが、そういったことの先の十年ということも見据えた計画も必要かなという思いで、今回の質問をさせていただいたので、その辺の所見を再度伺いたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。
    ◎知事(村井嘉浩君) おっしゃるとおりだと思います。十年、二十年、三十年先を見据えて多賀城を、政庁跡を中心に、どのような形で宮城をPRしていくのかということは非常に重要なことだと思ってますし、観光にもつながることだと思います。伊達文化の前に、一千三百年前にあったものでありますので、非常に重要でありますし、私、多賀城の南門の問題があったときに、奈良の平城京に行って見てまいりました。あれはほとんど国費でやっておりますので全く規模が違いますが、敷地の中に電車が走っておりました。そういう意味からは、南門だけではなくて、時間をかけて、それこそ五十年、百年かけて多賀城政庁跡を復元するんだという、そういう大きな展望を持つということも必要なのではないかなというのを感じて帰ってまいりました。おっしゃることしっかりと受け止めて、多賀城市とよく協議しながら、今どうするかだけではなくて、将来どうするかということも考えながら、整備に努力してまいりたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 六番伏谷修一君。 ◆六番(伏谷修一君) 今知事からは、奈良の政庁を見てきたというお話もございました。奈良では政庁を祝う祭りを一二〇〇年祭として、事業としてやっているということも聞いております。やはりこの千三百年の瞬間に立ち会えるということで、私、このことを思い続けて、継続してやっていかなければいけないなという、命題でもあると思うので、今日はプロローグとして、そういう感覚で今後進めていきたいという思いを伝えておりますが、今後そういった具体的な道路整備であるとか、地域住民の方々の、次世代の方々の意見も聴いておりますので、そういった話をどんどんして、何とかその整備につなげていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 次に、今ほど避難路・物流路、清水沢多賀城線ということで、この整備を何とか早く進めてほしいという思いでお伝えしたのですが、やはり実際避難路として機能がなされてないということが一番大きな問題かなと思います。私もまだ消防団員を現役でやっておりまして、その地点に行って車の誘導というようなことで見てみたんですけど、とても動くような状態ではなく、この前梨泰院であったような、ああいうような、本当にもう集まり過ぎて動かなくなったという現状を見ているので、こういう整備を早めにやってほしいなと思っております。今ほどのお話では、東北本線をオーバーするというようなことでの、その辺の認識はもう共有されているのかなと思いますので、この点についても、一日も早くやってもらいたいなという思いでございますので、よろしくお願いいたします。 それから、時間がないのですけれども、最後ストックヤードとしてのいろいろな公害問題といいますか、そういった苦情について県へいろいろな意見書、請願ということも考えているようでございますので、しっかりとした対応をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十二番高橋宗也君。    〔二十二番 高橋宗也君登壇〕 ◆二十二番(高橋宗也君) おはようございます。まさにブラボーな朝を迎えました。カタールの地でサッカー日本代表がドイツに続きスペインも撃破し、日本中に感動と元気、そして笑顔が届きました。一般質問も頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 二〇二二年、今年も早いもので師走を迎えました。新型コロナウイルス感染症の波は第六波、七波、八波と続き、七月には豪雨災害が発生、更に、世界的なインフレやウクライナ紛争などに伴う物価高騰、夏の熱波など激動の一年となりました。厳しい状況の中ではありますが、現在の苦境を乗り切る対応をしっかり手当てしつつ、長期的な視点で政策を実行し、持続して発展する宮城を築いていく責任が我々にはあります。政治は困っている方のためにあります。また、未来に向けた希望の光をしっかりとともしていくためにあります。私は、広く県民の皆様の意見を聴き、信頼を得ながら、光の当たらないところに光を当てていくことが政治の原点だと考えます。未来に向けた政策を県民の皆様に示し、確実に実現していくため、今後の県政発展に向けた各政策について、以下、横断的に県の姿勢をお伺いいたします。 まず、女川原子力発電所の緊急防護措置を準備する区域、通称UPZ区域における防災対策の強化策について伺います。 地域防災計画原子力災害対策編は、災害対策基本法に基づき各自治体が作成する計画です。東日本大震災の以前には、原子力発電所から半径約八から十キロメートルとされていましたが、東京電力福島第一原子力発電所事故では、この範囲を超えて避難が必要になり、IAEA国際原子力機関による国際基準も参考にし、原子力規制委員会が策定した原子力災害対策指針によって、おおむね半径三十キロメートルに拡大されました。これに伴い、原子力災害対策に係る地域防災計画や避難計画は、おおむね三十キロメートルの範囲に拡大して策定され、原子力防災訓練の実施や資材の配備等が進められていることは、御案内のとおりであります。一方で、我が県の場合、新たに拡大された東松島市、登米市、南三陸町、涌谷町、美里町の五市町におけるUPZ区域では、関連する防災対策を進める上で必要な財源や人員等の支援手当が一切ないことが、大きな課題となっております。宮城県には、内閣府から原子力発電施設等緊急安全対策交付金として約六千八百万円が交付され、原子力防災訓練時の費用や人件費などに充てておりますが、基礎自治体では、計画策定の人件費から訓練費用に至る経費などのほぼ全てを一般財源で賄っています。原子力防災体制の見直しにより、地方自治体が実施する防災体制の範囲が大きく広がっている状況を踏まえ、基礎自治体の意見をしっかりと聴きつつ、財源、人員等を含めた適切な支援を行い、また、国や関係機関と交渉することが求められています。なお、この件については、原子力発電所の立地道県で設立された原子力発電関係団体協議会として要請はしておりますが、県による明確なUPZ区域支援の政府要望はありません。県としても責任ある対応が必要な分野です。また、知事会などでも連携した対応が必要と思われますが、本件に関する所感と今後の方針を伺います。 次に、電源三法の諸制度について伺います。 国は、昭和四十九年度、発電用施設の設置及び運転の円滑化を図るため、電源開発促進税法、特別会計に関する法律、発電用施設周辺地域整備法の三つの法律に基づき交付される電源三法交付金制度を創設しました。この交付金により、発電所を受け入れる立地地域の社会基盤整備や産業支援等の各種施策を進めています。実に約半世紀も前の法律が、ほぼそのままの形で継続され、交付金の運用も同様に行われていますが、しかし、前述のように、災害対策基本法は既に東日本大震災などの経験を踏まえて大幅に改正され、法に基づく地域防災計画の改定対応は、UPZ区域に拡大して義務づけられています。当然のことながら、自治体だけでなく拡大された区域の住民や企業も、以前にも増してPAZ区域に近い対応が必要になっています。知事はこの状況をどのようにお考えでしょうか。 私は、電源三法交付金の対象地域はUPZ区域に拡大し、現況に対応した形に改善すること、更に、不整合、不平等は改正することが急務だと考えています。なお、当然のことながら改正に当たっては、現在の女川町、石巻市に対する交付水準はしっかりと維持して、また、財源を確保し、現在交付を受けている自治体の財政には影響がないよう措置することが前提条件となりますので、念のため申し添えます。今後の方針、政策について伺います。 関連して、原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業、通称F補助金と言われる支援制度について伺います。 本制度は、原子力発電施設等の所在市町村、隣接市町村等の区域の全部または一部地域において、雇用の増加を生む事業所の新規立地や設備の増設を行った企業等に対し、企業が支払った電気料金の実績に基づき、おおむね八年間にわたって補助金を交付する制度です。この制度の適用区域についても、現状では東日本大震災後に拡大されたUPZ区域は含まれておりません。企業立地支援を通じて、周辺地域における自立的、持続的な発展を支援する制度ということで、少なくともUPZ区域市町も含んだ形になるよう宮城県として拡大について強力に政策を推進し、政府要請を含めた調整を深めていくことが必要と確信しております。御見解と今後の方針を伺います。 次に、核燃料税について伺います。 今議会においては、女川原子力発電所に係る核燃料税を引き上げる議案が上程されています。税率は現行の一五%相当から一七%相当に引き上げ、内容としては、核燃料税には原子炉の熱出力に応じて課税する出力割と、原子炉への燃料挿入時に課税する価額割がありますが、出力割を現行の三%相当から八・五%相当に引き上げる一方、価額割を十二%から八・五%に引き下げるとされております。変更内容について、出力割と価額割を合わせた一七%相当は、原発が立地するほかの多くの道県と同水準でございますが、今回の引上げの主な理由とその内容について伺います。 また、再稼働前の現況の税収は年間約一億八千百万円ですが、今後は五億六百万円程度に増える見込みとされております。増加する見込みの財源の使途について、方針を伺います。 大綱の二点目、一次産業における環境の激変、特に地球温暖化への対応について伺います。 現在の宮城米の主力品種の一つ、ひとめぼれは、コシヒカリと初星を両親として、今を去ること三十一年前、一九九一年に古川農業試験場にて誕生いたしました。ひとめぼれは、冷害にとても強く、味と香りが良く、粘りの強い大変おいしいお米です。文字どおり、そのおいしさにひとめぼれしてしまうことが、その名の由来とされ、我が県だけでなく、お米の中でコシヒカリの次に作付量及び流通量が多い品種で、市場においても人気があります。一方で、県産のひとめぼれは、残念ながら令和三年産も特Aランクを獲得することができず、農家、農業法人からの声では、食味は非常に良いが、一方で、近年は高温障害から白濁や胴割れなどが発生する割合が高くなっているという指摘があります。三十年以上前に開発された冷害対応品種ということもあり、現場からは次なる主力品種、近年の高温障害と産地間競争に対応できる品種が切望されています。米どころである我が県の主力品種が特Aランクを獲得できないという残念な状況は、私を含め我々議会としても共通の課題として、多数の議員が共有する切実な問題です。これまでの確認事項で、ひとめぼれが業務用を中心として流通してきたため、近年の米余りから価格低下に陥ったことなどは承知しております。また、市場でも、ひとめぼれはおいしいお米、洋食にも和食にも合うお米として高評価であることは疑いありませんが、継続的な販売促進等のPRも含め、農業の立場からすると、現在の温暖化に対応した新たな品種を切望する声が多数寄せられております。例えば、つや姫は、消費者向けに流通することを目的にし、打倒、魚沼産コシヒカリを掲げ、ブランディングには山形県が予算を集中投下しています。ほかの品種に比べて生産量も少ない山形県産つや姫を、都市部で積極的に宣伝し、在庫なく売り切れるような戦略的な対応によって、価格を維持していると推察いたします。環境に対応し、そして農家に希望が持てるような米政策の立案と戦略計画、そして品種開発が急務と考えます。本件に関する見解と今後の方針を伺います。 次に、同じく環境変化に伴う農業の課題として、主に土地改良区等が管理する農業水利施設の燃油、電気代等の著しい高騰について伺います。 雨量の増加に伴う排水量のアップと、特に今年の電気料金の高騰は、地域の各土地改良区にとって死活問題です。今議会において、土地改良区原油高騰対策費として二億一千六百五十万円が計上され、まさに緊急的な対応をしていただいていることには評価しつつ、今後も続く電気料金の値上げ見通しには大きな危機感を持っています。つい先週も、全国の電力会社が約三割以上の大幅値上げを国に申請したところです。価格の増嵩分については、農家負担への転嫁が難しい土地改良事業の仕組みは御案内のとおりでありますので、長期的、計画的な対応が必要と思慮いたします。我が県では、平成二十八年に「みやぎの農業用水利施設を活用した小水力等発電施設整備の実施方針」を立て、農業施設の小水力発電や太陽光発電に着手し、それぞれの先行モデル数か所は完成し効果を上げていますが、あまりに数は少なく、更に加速して推進する仕組みが必要です。そもそものことですが、電気料金については、今回のような世界的な物価高騰に伴う状況だけでなく、FIT制度によって再生可能エネルギーが増えれば、更に電気料金は高くなっていくことが市場の仕組みです。水利権等の課題解決を進めつつ、小水力発電を進める一方で、まずは農業施設、例えばポンプ場の屋根や水路のり面などを活用した太陽光発電の導入を加速していくべきです。合意形成や森林開発、危険地への設置など、課題のある発電施設よりも、規模は小さくても送電ロスが少なく、遊休地、遊休施設が活用できる構造物の屋根などの発電活用を基本に帰って推進していくことが有効だと考えます。今年度からは、FIT制度に加え、市場連動型となるFIP、フィード・イン・プレミアム制度の導入が決定しています。徐々にFIP制度への移行が見込まれる中、最近はPPA、電力購入契約制度が注目されています。この仕組みは、発電システムを所有している事業者と電気を利用する顧客との間で締結される販売契約で、具体的には、太陽光発電施設を工場や利用者住居の屋根などに無償で設置し、発電した電力のうち、使った分を利用者が買い取る契約形態を指します。発電施設を所有しているのは、システムを提供する事業者となりますので、電気を利用する顧客は、設備設置に係る初期費用やメンテナンス費用を支払う必要はありません。現時点では制度の理解が進んでおらず、契約形態にも複数のパターンがあることから、専門外、この場合は土地改良区等を指しますが、必ずしも情報は行き届いていない状況にあります。電気料金、原油高騰によって、経営の持続性に危機が生じている土地改良区が多数に上っています。PPA等新たな仕組みを活用した発電施設の普及促進に係る当局の見解と、今後の方針を伺います。 次に、日本三景松島湾など浅海地域における養殖事業の持続的な発展について伺います。 まず、カキ養殖についてですが、宮城県の名物、特産となっている松島湾のカキ養殖は約三百年前から始まったとされ、大正十五年から現在の簡易垂下式養殖の普及によりカキの生育が良くなり、生産量の増大につながり、宮城を代表する一大産地となりました。東日本大震災により、東松島市、松島町、塩竈市等、松島湾内のカキ養殖施設は壊滅的な被害を受けましたが、カキ事業者の血のにじむような努力と復興事業支援等により、漁業者数は減少したものの、生産量の回復と復興に向けた歩みを進めてきたところです。一方、東日本大震災によって、松島湾内における海洋環境は総合的に悪化し、海底に泥がたまり、アマモ等の海藻も著しく減少し、近年の海水温の急激な上昇や低酸素化が進み、カキの死滅が発生するなど、海洋環境は著しく悪化しています。昨年から今年にかけては生産量が大幅に減少し、松島牡蠣は、地域によっては生産が三分の一に激減している状況にあることを御存じでしょうか。改めて申し上げるまでもなく、東松島市、松島町、塩竈市に広がる松島湾では、カキをはじめ、ワカメ種苗の育成や養殖、そしてノリの種場や育苗場として、宮城県の水産業になくてはならない重要な役割を果たしております。その松島湾において、今まで経験したことがないような環境の変化が現れていることを御理解いただき、地域の水産業を守るべく、宝の海である松島湾の再生に県当局の迅速な対応を願うものです。この件は、県漁協を通じ、私たちの会派の水産漁港議連にも対応を切に願う要望が寄せられています。松島湾沿岸の漁業者が切望している内容について、以下伺います。 まず、アマモやアカモク等の海藻類増殖事業の実施です。 松島湾では、大震災以前、アマモやアカモク等の海藻が多く繁茂し、魚やエビ、貝類などの稚魚、養魚のゆりかごとして、また、海水の浄化等、生物多様性と資源再生の根底を支える場として機能してまいりました。震災後、一時的な回復が見られたものの、今は以前の姿からは程遠く、海藻類は減少の一途をたどっています。また、海藻藻場によるCO2の吸収、貯留を進めるブルーカーボンについては、世界的に気候変動枠組条約への反映を目指すとされ、国は産・官・学による藻場、干潟の造成、再生、保全の一層の取組を推進するとしています。ブルーカーボンは、沿岸域での生物多様性の回復にも寄与することは間違いなく、実際に今年度、北海道では藻場、干潟の整備や保全により、環境と調和した水産業の構築を目指して、新たなCO2の吸収源として期待されるブルーカーボンに関する取組を推進するため、北海道ブルーカーボン推進協議会が設立されています。我が県の公開資料によりますと、平成二十七年度時点の本県沿岸域の岩礁性藻場面積は約二千ヘクタールありましたが、令和元年度には約九百ヘクタールまで減少していることが確認されたとしています。県当局による藻場ビジョンでは、藻場造成の支援は北部・中部海域に限定され、海藻が生育するアミノ酸混和コンクリートの活用なども含め、藻場造成については、松島湾地域は全く手つかずに近い状況です。漁業の持続性とブルーカーボン、生物多様性等、幾重にも効果のある松島湾沿岸域の藻場造成は、水産部門と環境部門が連携して早急な対応をしていく分野だと考えます。松島湾は水深が浅く、海水温上昇の影響を最も受ける海域です。今後の方針と対応について伺います。 次に、湾内の航路確保と漁場のしゅんせつ等について伺います。 平成のはじめ、県事業による松島湾リフレッシュ事業によって、湾内の水路、航路の確保や一部ヘドロ等のクリーンアップが図られてから、かなりの年数が経過いたしました。漁業者による海洋ごみ拾いなど様々な取組を行い、松島湾の水質改善に努めてまいりましたが、堆積物の影響で潮の流れが変化し、湾内によどんだ水が停滞するようになったという指摘が、現場の漁業者から寄せられています。湾内には、外洋水がほとんど流入しない状況になり、一部では船舶の航行にも支障を来している状況があります。海洋しゅんせつの実行までには調査等の事前の準備が必要だということは、多くの漁業者が理解していますが、まずは綿密な調査に着手しないと事が進まないことも事実です。本件についての所感と、今後の方針を伺います。 この件について最後に、漁業振興における本県漁業者のための事業継続支援策について伺います。 漁業者は、近年の水揚げ減少と燃料高騰、資材価格上昇などによる経営悪化に大きな痛手を受けています。特に、数年にわたって連続する水揚げの減少は、経営の継続が困難になっている漁業者が発生しており、利子補給制度の拡充や、特に深刻な漁業者からは、無利子融資制度も含めた新たな仕組みを切望する声が届いています。当局の今後の方針について伺います。 大綱の三点目、自治体職員の人材育成とリフレッシュの方針について伺います。 県庁の最大の財産の一つは、職員の皆様、人材であると考えています。人材こそが最大の財産であり資源です。それぞれの能力や個性を最大限発揮していくことにより、県庁は組織としての力を高め、ひいては県民の皆様へのサービス向上につながっていきます。あの東日本大震災の対応、その後の復旧事業、また重ねての災害の頻発、更には新型コロナパンデミックから豚熱の発生による不眠不休の処理、鳥インフルエンザの緊急対応など、日常対応とは異なる事態が近年数多く発生しています。また、一方では、職員の残念なミスや事件・事故等も発生しています。アクシデントは避けなければなりませんし、インシデントとなれば更に事態は深刻です。改めて職員の健康の維持と精神的な安定、そして職員の能力や個性の発揮につながるような環境の整備が必要と考えます。県庁は、いつも不夜城のように夜遅くまで明かりがともっています。労働時間が長い、休暇を取得しづらいといった習慣が根づいている我が国だからこそ、休み方の改革は目を向けるべき課題の一つと言えます。業務改革、生産性向上のかぎは連続休暇であると厚生労働省も指摘しているとおり、公務員、民間も含めて有給休暇の取得率は半分以下という世界でも最も低い数値となっている今の状況は誠に深刻です。長時間労働は、健康リスクにも影響を与えかねません。そうした中で、宮城県庁には、法定の休日・休暇だけでなく、特別休暇の制度があります。新たな通称孫休暇の制度についても、私としては賛成したいと思っておりますが、孫休暇のような新たな仕組みを都道府県で最初に導入しようとしている知事ですから、まだ孫がいない若手や中堅職員の対応についても、最適な解決策を期待しています。 今回、私からは、リフレッシュ休暇の拡大について提言いたします。現在、出産・忌引き・結婚・ボランティア休暇などの特別休暇がある中で、現況においても通称リフレッシュ休暇制度があります。内容は満四十歳、五十歳に達した職員に連続三日以内の休暇取得ができるという制度で、人事委員会が定める職員が、心身の活力を高め、職務への意欲の喚起を図る場合に取得できるとされています。近年、他県や民間企業では、本当の意味でのリフレッシュにつながるよう一週間程度以上の休暇制度が多くなっています。本来の目的が達成されるようしっかりと休養を取ったり、視察や自己研さんができたりする制度、また、海外も含めたロングステイや現場体験、研修視察等も可能にする文字どおりのリフレッシュ休暇制度に改善すべきです。現況の三日間では、リフレッシュにつながるかどうか甚だ疑問であります。長期休暇は、休養、体験、研修、視野の広がり、意欲の向上など多くのメリットがあります。また、人生の節目となる十歳刻みということであれば、現況の四十歳、五十歳に加え、三十歳と六十歳を追加すべきです。加えて、定年延長になる六十歳は、年休の集中取得などと合わせて一か月程度は取得できるような制度や運用の改善が必要ではないでしょうか。当局の現状の運用状況と、改善方針を伺います。 最後に、休暇制度に係る民間や市町村への情報提供と推進方策について伺います。 長期休暇制度の改善方針を県が文字どおり率先垂範することで、民間企業や市町村への波及効果が大いに期待できます。国の調査によると、このようなリフレッシュ休暇制度は、都道府県や政令指定都市等では約七割の自治体で採用されていますが、市町村では約三割程度、民間企業では大企業で制度化されているところが多いとされております。市町村への情報提供や人事管理研修等の状況、そして民間企業の休暇取得の推進についてはどのような対応がなされ、今後どのように進めていくのか、方針を伺います。 以上で、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 高橋宗也議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、UPZ区域の防災対策強化についての御質問にお答えいたします。 初めに、区域内の五つの市町に財源や人員等の手当てがないことに関する所感と、今後の対応についてのお尋ねにお答えいたします。 UPZ区域内の市町において、避難計画等の作成や関連業務などに要する経費負担が生じていることにつきましては、財政措置が必要であると認識しております。このため、県では国の原子力発電施設等緊急時安全対策交付金を活用し、原子力防災研修への市町職員の派遣や、個人線量計、防護服など資機材の整備を支援しております。また、今年度は、住民避難に係る講習会の開催やリーフレットの作成など、市町における広報等に活用できる原子力防災対策普及補助金を創設いたしました。国に対しましては、これまで、原子力発電関係団体協議会や全国知事会を通じ、要望してきたところでありますが、UPZ区域を含め、原子力防災対策には十分な財政措置が必要でありますことから、県といたしましても、政府要望もしてまいりたいと考えております。 次に、電源三法交付金の対象地域拡大についての御質問にお答えいたします。 電源三法交付金は、発電用施設の設置と運転の円滑化に資することを目的としており、その対象地域につきましては、国の交付規則において定められております。このため、我が県を含む原発の立地道県で構成する原子力発電関係団体協議会、いわゆる原発協では、UPZ区域を含む原子力災害対策重点区域についても対象地域とするよう、国に対して要請しているところであります。県といたしましては、対象地域の拡大は原発立地道県に共通する課題であることから、今後とも原発協を通じ、支援の充実を国に対して求めてまいりたいと考えております。 次に、核燃料税の引上げについての御質問にお答えいたします。 我が県では、東北電力女川原子力発電所の立地に伴い必要となる原子力安全対策、環境安全対策等の各種事業の実施に当たって、従来の核燃料税の収入では賄えない財政需要があることから、他道県との均衡にも配慮しつつ、税率を引き上げることといたしました。具体的には、発電用原子炉に挿入された核燃料の価額を課税標準とする価額割の税率を、現行一二%から八・五%とする一方、発電用原子炉の熱出力を課税標準とする出力割の税率につきましては、現行三%相当の一千キロワットにつき七千円から、運転中については八・五%相当の二万二千三百円として、計一七%相当とするほか、廃止措置中につきましても一万一千百五十円に引き上げることとしております。また、次期課税期間における主な使途としては、環境放射線監視センターの管理運営費、周辺地域の道路整備費などに活用することとしております。なお、次期課税期間に見込まれる財政需要の規模といたしましては、約二百五十六億円に上ると見込んでおります。インフラ整備が多いということになっております。 次に、大綱二点目、環境激変に伴う農業と水産業の課題解決についての御質問にお答えいたします。 初めに、農業水利施設におけるPPA等の新たな仕組みを活用した、太陽光発電施設の普及促進についてのお尋ねにお答えいたします。 燃油価格及び電気料金等の高騰は、用排水機場など多くの農業水利施設を管理する土地改良区の運営に大きな影響を及ぼしているものと認識しております。県では、これまでも土地改良区の運営を支援するため、土地改良事業の一環として、小水力発電施設やメガソーラーの導入を進めてまいりましたが、燃油価格や電気料金の高騰を受け、今年度新たに、土地改良区の事務所への太陽光発電施設導入等に対し、助成を行うことといたしました。更に、農業用ため池の水面等の未利用地を有効に活用するため、適正管理を前提に、採算性が見込まれる一定規模以上のため池を候補地として、PPA等の活用を含めた水上ソーラーの導入可能性調査を進めていくこととしております。県といたしましては、関係者と連携、調整をしながら、土地改良区の運営基盤の強化につながるよう太陽光発電施設の普及促進を図ってまいります。 次に、松島湾の藻場造成についての御質問にお答えいたします。 岩礁性のアラメや砂泥域のアマモなどの藻場の保全は、海域に豊かな生態系を育み、水産資源の増大に寄与するほか、環境浄化やブルーカーボンとしての機能も有しており、重要な取組であると認識しております。我が県の沿岸域では、北中部を中心に岩礁性の藻場が衰退する磯焼けが発生しており、県では、宮城県藻場ビジョンに基づく漁場環境の整備や、ウニ除去などの藻場保全活動への支援を進めているところであります。一方、松島湾内では、震災によりアマモ等が大きく減少し、その回復が遅れていることから、藻場再生に向けた取組の強化が必要と考えております。このことから、県といたしましては、漁業者等の要望を踏まえ、松島湾の環境特性や海藻の種類に応じた藻場造成が図られるよう、地元関係者への活動支援なども含め、効果的な対策を検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 総務部長志賀真幸君。    〔総務部長 志賀真幸君登壇〕 ◎総務部長(志賀真幸君) 大綱三点目、行政職員の人材育成とリフレッシュについての御質問のうち、リフレッシュ休暇についてのお尋ねにお答えいたします。 職員一人一人が職務に精励するためには、適度な休養を取り、心身の健康維持に努めていくことが重要であることから、これまでも夏季休暇や年次有給休暇の取得を促進するとともに、連続休暇が取得しやすい職場環境づくりを行ってきたところであります。リフレッシュ休暇は、職員が心身の活力を高め、職務への意欲喚起を図るため、満四十歳及び満五十歳に達する年度において、連続する三日以内で取得することができる特別休暇であり、特例として、新型コロナウイルス感染症対応業務等のため、やむを得ず当該年度にリフレッシュ休暇を取得できない場合は、翌年度に取得することも可能としております。知事部局におけるリフレッシュ休暇の取得状況は、近年、六割から七割程度にとどまっていることから、更なる声がけなどを行い、全ての対象職員が取得できるように取り組んでまいります。また、現行制度における対象年齢や取得期間の見直し、長期連続休暇を促す運用などについては、定年年齢の引上げなどにも考慮するとともに、他の都道府県の状況なども踏まえ、検討してまいります。 次に、市町村や民間企業に対する取組の現状と、今後の方向性についての御質問にお答えいたします。 我が県では、働き方改革の推進や職務への意欲向上のため、様々な取組を行っており、リフレッシュ休暇制度もその一つであると考えております。県内では、リフレッシュ休暇を導入している市町村は五市と少ないことから、今後、研修会の場などを通じて、特別休暇制度や取組内容などについて説明し、市町村における制度検討につなげてまいりたいと考えております。また、民間企業については、働き方改革関連法が改正されたことに伴い、少なくとも年五日は年次有給休暇を取得させることが使用者に義務づけられたことから、県では、宮城労働局で設置している宮城働き方改革推進支援センターと連携して、労働者が確実に取得できるよう県内企業に働きかけを行っているところです。今後、この取組を進めるとともに、それぞれの民間企業の実態に応じた休暇制度が導入されるよう、我が県の休暇制度についても様々な機会を捉えて周知してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱一点目、UPZ区域の防災対策強化についての御質問のうち、原子力発電施設等周辺地域企業立地支援事業費補助金の対象地域の拡大についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、これまで、本補助金を活用し、対象市町に立地した企業の電気料金の負担軽減を通じて設備投資及び雇用の促進を図ってまいりました。現行制度においては、UPZ区域市町は補助金の交付対象地域外となっており、地域の産業振興や雇用創出を図るためには、この区域も対象地域とすることが必要であると認識しております。このため、県では、原子力発電関係団体協議会を通じて、UPZ区域市町も補助金の対象地域に含めるよう国に対して要請しており、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 農政部長宮川耕一君。    〔農政部長 宮川耕一君登壇〕 ◎農政部長(宮川耕一君) 大綱二点目、環境激変に伴う農業と水産業の課題解決についての御質問のうち、高温障害と産地間競争に対応できる政策や品種開発についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県では、主力品種であるひとめぼれのほか、ササニシキ、だて正夢、金のいぶきなど、食味や機能性に優れた多彩な品種を育成し、家庭向けのほか、中食、外食向けの業務用としても広く生産、出荷されております。一方で、気候変動による平均気温上昇など自然環境の変化に加え、食やライフスタイルの多様化など、社会経済状況の変化が急速に進んでいることから、こうした変化に的確に対応し得る品種を開発、生産し、しっかりと販売につなげていくことが重要であると認識しております。特に、米の主産県として、他県の銘柄米に対抗できる品質と食味を持ち、近年の高温障害に対応した品種の育成は喫緊の課題であることから、古川農業試験場では高温登熟性に優れた品種の育成に向け、みやぎ環境税を活用し、昨年度から研究に取り組んでいるところです。県といたしましては、農家が希望を持って栽培に取り組めるよう、高温障害や産地間競争に対応できる品種開発を進め、活力ある水田農業の振興に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。    〔水産林政部長 吉田信幸君登壇〕 ◎水産林政部長(吉田信幸君) 大綱二点目、環境激変に伴う農業と水産業の課題解決についての御質問のうち、松島湾における調査についてのお尋ねにお答えいたします。 震災以降、松島湾では度重なるカキのへい死の発生や、アマモ場の回復の遅れなどから、海洋環境の変化を懸念する漁業者の声があることは認識しております。県では、松島湾リフレッシュ事業計画に基づき環境保全事業を実施し、その後も定期的に水質・底質調査等によるモニタリングを行うとともに、震災後、磯崎漁港の泊地しゅんせつを実施するなど、漁船の航行に必要な水深の確保に努めております。また、これまでの環境モニタリングでは、漁業生産に影響を及ぼすような数値は確認されておりませんが、地元漁業者の懸念を受け、県では今年度から、水質調査地点の拡大や漁業者と連携した漁場環境調査も実施しているところです。県といたしましては、引き続き、漁港内の航路の水深確保や漁場環境の正確な把握に努めるとともに、地元漁業者などの意見を聞きながら、より詳細な調査の実施など必要な対策を検討してまいります。 次に、漁業者への資金繰り支援についての御質問にお答えいたします。 近年、サンマや秋サケなどの不漁が続いているほか、カキについては松島湾内を中心として、へい死による生産への影響が懸念されているところです。加えて、燃油価格の高騰等により、本県漁業者の経営は非常に厳しい状況にあると認識しております。このため、県では、漁業経営継続に向けた運転資金としての漁業経営安定資金や、経営維持・再建資金としてのJFマリンバンクコロナ対策長期資金などにより、漁業者を支援しているところです。また、災害や事故などで漁業経営に大きな影響を及ぼす場合に備え、原則無利子の漁業経営サポート資金を用意し、漁業者の事業継続を支えることとしております。県といたしましては、引き続き、漁業者の状況も確認しながら宮城県漁業協同組合等と連携し、必要に応じてこれらの制度の拡充を検討するとともに、国の制度資金の柔軟な運用等について要望するなど、漁業者のなりわいの維持、安定に向けて取り組んでまいります。 以上でございます。 ○議長(菊地恵一君) 二十二番高橋宗也君。 ◆二十二番(高橋宗也君) 御答弁ありがとうございました。何点か確認も含めて再質問させていただきます。 まず、UPZ関係ですけれども、知事から初めてに近い言葉で、UPZ区域内の自治体の課題について認識しており、今後も支援を継続していきたいと、財政措置も必要と考えているとの答弁がありましたが、そのお考えについて、どのような方針で臨んでいかれるのか、確認したいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 渥美巌市長からもそのようなお話をいただいておりますし、UPZ区域内の他の首長さんからもお話をいただいております。先ほど議員からの質問にもありましたとおり、東日本大震災を受けてUPZという新たな定義によって範囲が広がったということで、UPZ区域内となった自治体からすれば、新たな避難計画等の作成を義務づけられて、それに係る人件費等が生じているにもかかわらず、そういった財政面の手当てがないということで、全て一般財源でやらざるを得ないので負担となっているということであります。先ほど答弁いたしましたように、県も幾ばくかですが、資料の作成費など広報に活用できる補助金を創設しておりますけれども、なかなか人件費までとなるとかなりの金額になりますし、それを対象となる全ての自治体にとなればなおさらですので、そこより一歩前には出れていないということであります。これは、宮城県だけではなくて、全ての原発を抱えている県に共通することでありますので、こういったようなものは国がしっかり財源措置をすると、その上で足りないものについては県のほうでお手伝いするという考え方でないと、全て県が負担するとなれば、かなり財政的に厳しくなりますので、こういったようなことは、政府に要望しつつUPZ区域内の首長といろいろ話をして、やれる範囲内のことは一生懸命取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ○議長(菊地恵一君) 二十二番高橋宗也君。 ◆二十二番(高橋宗也君) ひとまず安心したところではあるのですが、この場でちょっと確認したいことがあります。先月の十一月十日、島根県松江市にある中国電力の島根原発の再稼働に伴い、資源エネルギー庁から島根県に対し、実に従来の二倍の十億円、更に注目すべきことに、隣県の鳥取県にも五億円の原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金が財源措置されることになったということであります。このたび、初めてこういった資源エネルギー庁からの追加方針が出たことに非常に注目しています。細かい点ではいろいろあるわけですが、条件的に制度を整えていかないと進まないことも事実であります、いろいろな意味で。バットを振らなければ当たりませんし、シュートを打たなければ入りません。資源エネルギー庁の方針が出たように、国は県に比べてドイツやスペインのように強いんでしょうけれども、意見を聞く耳は持っていると思うんです。本当にこれまで知事はシュートを打ってこられたのか、あるいはクロスボールを上げてこられたのかも含めて、今後どんどんシュートを打っていかないと、国が変わっていかないと思うんです。先月こういった大きな条件的な措置がなされましたので、この件に関しての認識について伺います。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) しっかりとシュートを打っていきたいなと、クロスボールも上げていきたいなというふうに思います。先ほど島根県の例がありましたけれども、再稼働に向けてということでありますので、その後、宮城県にも続いていくと思います。当然、島根県に財源措置されて宮城県には措置されないわけがないので、そういったタイミングを捉えてしっかり主張してまいりたいと思いますし、何といいましても、原発立地県が力を合わせて物申していくことが非常に大きな声になりますから、そういった努力をしてまいりたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十二番高橋宗也君。 ◆二十二番(高橋宗也君) ぜひ、シュートを打たれてゴールされるよう期待しておりますので、よろしくお願いします。 時間の関係で、先に水産の関係をお伺いしたいと思うのですが、先ほど水産林政部長からは、課題は認識しているので必要な対策を検討するというレベルの御答弁でありました。漁師さんたちは本当に死活問題なんです、特に湾内の奥では。まずは原因究明の調査をしっかりしないと、今年度産のカキですから、今年度中に調査しないと進まないと思うんです。来年度産には間に合わないおそれが多分にあります。しっかり補正も含めて予算化することが必要と思います。今日は予算の質疑ではありませんが、予備費の活用など予算措置も含めてしっかり対応していく必要があると思っておりますが、今後の方針についていかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 水産林政部長吉田信幸君。 ◎水産林政部長(吉田信幸君) ただいまお話がございましたとおり、漁業関係者は大変御苦労されていることは認識しております。今年度は漁場環境調査ということで、水質調査あるいは底質調査の地点数を増やすなどして、現状の把握に努めているところでございます。また、漁業者と連携した漁場環境調査ということで、宮城県漁協の支所の青年部の方々と一緒に、カキのへい死状況やその原因を究明するための調査を進めているところでございます。ただ、全体的な原因の究明に当たっては、もう少し地点等も増やしながら大きく調査を行っていく必要もあると思いますので、その辺りをどのように進めていくか、漁業者の方々とも意見交換させていただきながら、現状をしっかり調査した上で、より効果的な対応策を検討していきたいと考えております。 ○議長(菊地恵一君) 二十二番高橋宗也君。 ◆二十二番(高橋宗也君) なんかすっきりしないんですが、検討するということではなくて、地球温暖化の最前線にいるのはある意味漁業者だと思いますし、特に深刻な状況にあるのも漁業者だと思います。御存じのように、この地域は若手漁業者が非常に多い地域なので、若手漁業者のやる気を育てていくようにしっかり寄り添うことは当たり前のことで、前向きにしっかりやるという御答弁をいただかないと、漁業者は本当に希望がなくなってしまうおそれすらあるので、ここはもう少し強い決意をお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 当然、しっかり取り組んでいこうと思っていますが、昨日、この関係のレクをやりながらいろいろ部長の話を聞いたところ、問題のある箇所がいろいろ動いているらしく、正直申し上げて今のところ全く原因が分からないということでありますので、まずはいろいろな研究をされている先生方の意見や他県の状況などを聴きながら、しっかり原因究明していこうと思っております。決してやる気がないわけではなく、やる気はあるんですけれども、正直なところ、今はまだ暗闇の中にいるというような状況であるということも御理解いただきたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 二十二番高橋宗也君。 ◆二十二番(高橋宗也君) 知事から重ねての答弁がありまして、しっかりやっていくということなので、ぜひ前向きに、解決に至る調査を強くお願いしたいと思います。 リフレッシュ休暇について総務部長から御答弁がありましたが、心配しているのは、運用という発言がありましたが、運用だけだと例えばですが、企画部ではこう、総務部ではこうっていうようなおそれがあるので、三日間でリフレッシュにつながるのかどうかという根本的な疑問もあると思います。他県の例では、埼玉県は四日間の年休を加えて一週間程度の休暇取得を十年目、二十年目、三十年目でそれぞれやられております。また、もっと多くやられている茨城県の例など、他県ではこの頃、休暇日数を相当増やしておられるようです。率先垂範に近い形で、本当の意味でのリフレッシュにつながる休暇制度にして、県の職員の方々が県外あるいは県内でも居住地ではないところで、しっかりリフレッシュできる制度が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 職員にリフレッシュさせることは非常に重要なことだと思っておりまして、最近のストレス調査でも職員のストレスが非常に高まっているという結果が出ておりますので、そこは私としても反省しなければならない点だと思っています。制度をつくるのはそんなに難しいことではないのですが、問題は年休すら全部取得できていないんです。年休を全部取得した上で、更に足りないからって言うならいいんですけれども、年休を取得していないのに新たな特別休暇を与えるような制度をどんどんつくっていっても、なかなか取りづらいということになりますので、変なお願いかもしれませんが、年休を全て消化できるように職員にしっかり休んでくださいとお願いをすると、その上で足りない分をリフレッシュ休暇等で補っていくということをしっかり考えていきたいと思っております。 ○議長(菊地恵一君) 二十二番高橋宗也君。 ◆二十二番(高橋宗也君) お話としてはよく分かる部分もあるのですが、孫休暇を含めて特別休暇だと取りやすいという部分もあると思うんです。年休だとどうしても上司の方に遠慮する場合もあったりしますので、そこはリフレッシュ休暇のルールとして、特別休暇三日に年休四日を足していいですよと、知事からおっしゃっていただくと取得も進むと思うのですが、いかがでしょうか。 ○議長(菊地恵一君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) リフレッシュ休暇三日に年休四日を足して一週間にしていいと、それは当然言えると思いますが、何より重要なのは、職員が本当に気持ちよく仕事をして、健康でしっかり仕事をこなしていただくことですので、そこに力を置いて、職員組合等の意見もしっかり聴きながら対応してまいりたいと思います。やはり一番よく分かっているのは職員組合の皆さんだと思いますので、その意見を聴きながらしっかり対応してまいりたいと思います。 ○議長(菊地恵一君) 暫時休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩-----------------------------------    午後一時再開 ○副議長(池田憲彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十二番三浦ななみ君。    〔十二番 三浦ななみ君登壇〕 ◆十二番(三浦ななみ君) みやぎ県民の声の三浦ななみです。議長のお許しを得ましたので、以下、大綱三点について質問させていただきます。 国連は、今年十一月十二日時点で、世界の人口が八十億人に達すると発表しました。多くの国で人口の減少と高齢化が進んでいる中、各国の状況は全く異なり、多様化していると指摘しています。例えば、人口が増加しているのは、アジア、サハラ以南のアフリカの途上国であり、インドでは、来年、人口が十四億人にも達すると言われ、中国の人口を抜くと予測されています。人口が増えている途上国では、労働力を得るために、本人の意思とは無関係に十代で妊娠・出産する母親が多く、一日に八百人もの妊産婦が死亡しており、その九五%がアフリカ・アジアの女性であり、途上国の妊産婦の死亡率は、先進国の百七十五倍にも及ぶとされています。人口が増加している地域での課題について、国連の経済社会局のスパトリサノ事務次長補は、「女性が自分の体についての決定権が持てるようになり、教育と雇用の機会が広がれば、出生率は抑えられる。全ての子供に望まれて生まれてきてほしい」と述べ、意図しない妊娠を減らすため、教育に力を入れる必要性があると強調しました。労働力を得るために、本人の意思とは無関係に妊娠し、そのために命を落とすたくさんの女性がいることの解決策には、まずジェンダーについて考え、質の高い教育につなげていく必要があると考えます。今なお解決されていない、こうした遠くの国々で起こっている現実を心に留めて、この言葉の意味と自ら実践するべきことを考えることは、重要なのではないかと考えます。 大綱一点目、教育行政について。 私たちが暮らしていくこの世界には、貧困、紛争、気候変動、差別など、数多くの課題が存在しています。このままでは、子供たち、そしてこれからの人類が安定して暮らし続けることができなくなることが懸念され、そんな危機感から、世界中の様々な立場、価値観を持つ百九十三か国の人々が話合いを重ね、二〇三〇年までに達成すべき具体的な目標を立てたものが、SDGsです。SDGsが掲げる目標は、相互に関連していて、一つの目標を達成することが他の目標の達成へとつながっていくと考えます。このSDGsの目標達成に向けては、私たち一人一人ができることを考え、実践していくことが大切です。以下、SDGs目標四「質の高い教育をみんなに」と、目標五「ジェンダー平等を実現しよう」について言及していきます。 さて、私は、どう行動していけばよいのか、そう考えているとき、県内の女子大学にて行われた、キャリア形成論という科目の講義に参加させていただく機会をいただきました。その講義は、女性の生き方、働き方、学び方を女性学の視点から学ぶことを目的とした科目でした。この講義では、まず、大学のOGの方が人生の先輩としてお話しされました。大学を卒業し、御専門の分野で活躍され、結婚、妊娠・出産、子育て、御両親の介護を経て、現在は社会貢献をされているという先輩のお話は、地に足のついた女性の生き方の鏡のように私には映りました。その静かな物腰とお話の仕方には、気負うことのない自然な温かさが感じられました。その後、女性学の視点から、学生のアンケート形式の質問へと進みました。小中高校生時代に女子であることで何か区別されたと感じたことはあるかとの問いに手を挙げた学生は、ほとんどいませんでした。校長先生が女の先生だったかとの問いには、半数以上の生徒が挙手をしました。また、選択クラスの理系コースに女子がいたかの問いにも、半数以上の学生が挙手をしていました。学生たちの反応は、耳にする報道・統計とは少し違うものであると同時に、私が予想していたものとも離れたところにあり、少し驚きでした。私のアンコンシャス・バイアス--無意識の偏見であると気がつきました。ジェンダーの問題は、女性だけにあるわけではありません。ある新聞の記事に、このような文面を見つけました。それは、かつて営業担当としての仕事に誇りを持ち、成績は上々で、取引先から指名もかかるほどの商社マンであった男性が、結婚し家庭を持った後、家事や育児を行いながら子供の成長を見守るほうが自分には合っているように感じ、主夫--ハウスハズバンドとなった方の記事でした。最初は専業主婦--ハウスワイフをしていた妻は、働きに出たいという気持ちが強く、家事・育児に追われる時間に違和感があり、妻の専業主婦の生活は一か月で幕を閉じ、妻が外で働き、夫が家事・育児をするといった、家庭内で役割を交代する生活になりました。しかし一方で、世間の目は、男なのに、父親なのにという、共働きが広がってもなお固定観念が付きまとう現実を、生活の数多くの場面で突きつけられたと言います。そこで、SNSを用い、ハウスハズバンドの日常を発信したところ、共感の声が広がったというその男性は、その反響の大きさに、「それだけ男女の役割に疑問を感じる人も増えているのではないかと思う」と述べておりました。他人の価値観ではなく、自分に合った幸せの形がある。そう語る彼の言葉からは、妻と子供と支え合う喜びをこれからも大切にしたいという思いが伝わってきました。こうあるべき、こうでなければならない、こういったアンコンシャス・バイアスが、この世の中に根強く残っている事例です。このようにジェンダーの問題について考えていると、その陰には、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスといった問題が潜んでいることが分かります。これらの問題は、子供の頃からの経験や周囲の期待などの影響によって積み重ねられていくと考えられます。一般に、学校は男女の平等が実現された場と考えられがちですが、実際には、様々な場面において、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスが存在している可能性があります。教育の力、学校教育の作用が大きいということを再認識し、このアンコンシャス・バイアスとジェンダーの視点から敏感にチェックすること、そして、一人一人を大切にした教育の実現が求められていると考えます。アンコンシャス・バイアスは、誰にでもあるものです。大切なことは、気づいた時点で意識化し、自分がそうだと感じたら認めて、それを生活に取り入れることです。そして、皆がそれを受け入れる寛容な社会が求められているのではないでしょうか。これらが生じる要因として、隠れたカリキュラムというものが存在します。教育社会学のジェンダー研究では、学校の隠れたカリキュラムが議論されることが多いといいます。明星大学の須藤康介准教授によると、隠れたカリキュラムは教育学者フィリップ・W・ジャクソンが提示した概念であり、学校教育において本来のカリキュラム--顕在的カリキュラムを伝達するときに、意図せずして子供たちに伝わる内容のことを指します。男女別名簿、男女呼び分け、教員の性別構成などが、隠れたカリキュラムとして子供たちに暗黙のメッセージを発していると指摘されてきました。例えば、名簿を男子、女子の順番にし、理数系の教員は男性ばかりという学校環境が、望ましいとされる男女の在り方を子供たちに暗黙に伝え、結果的に、男女を区別した社会構造が次世代に再生産されている可能性が指摘されてきたとの見解です。また、須藤准教授によると、男子では、文化部に所属している生徒が性別役割分業を否定しやすいことが確認できるとのことです。これは、男は女をリードすべきというジェンダー規範から比較的自由な雰囲気が文化部の男子にはあるためだと考えられます。また、赤やピンクのランドセルを使っていた女子は、性別役割分業を肯定しやすいと言われています。これは、学校の隠れたカリキュラムの影響というよりは、ランドセルを選んだ家庭の文化の影響と考えられます。男女別名簿の影響については部分的に見られるものの、性別役割分業意識は、例えば身近な大人の就労状況や、日頃から触れる周りの環境によって形成される部分が大きいと考えられます。また、逆説的ではありますが、男子ばかり、女子ばかりで固まりやすい環境のほうが、ジェンダー平等な価値観が形成されやすいとのことです。それは、女子高で女子が活躍しやすいことと類似のメカニズムが推測されると述べています。性別役割分業の考えは、SDGs目標五「ジェンダー平等を実現しよう」につなげるために考えなければいけないことであり、その実現のために、目標四「質の高い教育をみんなに」を達成する必要があります。教育をつかさどる場を学校と捉えたとき、隠れたカリキュラムについて言及しなければいけないのだと考えました。この学校教育が持つ作用を、より多様性に富んだ人間形成に向けることは大切であり、実際に人をつくる主体として教育指導や実践を担う教員に多様性の重要さを伝え、学校教育に生かしていくことが求められます。文部科学省委託事業として、令和二年度に、次世代のライフプランニング教育推進事業、男女共同参画の推進に向けた教員研修モデルプログラムの開発の一環として、学校における男女共同参画の推進のための教員研修プログラムの実施に向けた手引を作成しています。このプログラムでは、男女共同参画の現状や課題について、動画やイラストを使用した、より詳しい教員研修の企画・実施について記載されており、実践的にその場を想定した研修を行えるような内容になっています。実施の手引に従って、動画教材とワークシートを用いて研修実施ができるプログラムです。宮城県での教職員における研修は、教師歴に応じて、また、各項目別などに分けて実施されているとのことですが、この教員研修プログラムの導入や実施状況などについてお聞かせください。 全国におけるこのアンケート調査のまとめとして、「自分の知る限りの小中学校では今どきそんな学校を見たことがない」、「男女共同参画・男女平等に異論はないが、それぞれの特徴や能力に応じて、長所を発揮できる役割分担が重要である」という意見の一方で、「大部分の教員はジェンダーバイアスを有していないとしても、一定割合の教員はジェンダーバイアスを有している可能性があり、この「無意識の偏見」を含む研修が効率的である」、「教員の意識が変わることで、女子生徒の行動が変わることを認識する必要がある」、「男女ともに意識を変えることが重要で、その第一歩は、管理職などの意識変革である」、「保守的な意識を変えるためにも、国際的視点が求められる」などというものでした。奈良学園大学、松岡智子教授は、長い歴史の過程から「教育制度は、ジェンダー平等の観点が示され、子供や教師に大きな影響を与える教科書の採択の視点からも、その内容も大きく改善されてきた。その一方で、学習指導要領が改訂され、教科書の内容がいくらか変化しても、学校教育に長く広く深く埋め込まれたジェンダー再編機能が、「隠れたカリキュラム」としての教師の言動や学校の慣行に、行われる活動の中に潜む子どもへの対応や、それによる教師の性別役割期待が存在している」と論じており、次のようにまとめています。「子どもは、大人となって社会に出るまでの長期間、起きている時間の大部分を学校で過ごすため、教師の言動やその姿が子どもに与える影響は大きい。この影響は、教師の言動だけでなく、教師の配属する学校で担当している学年や担当教科、管理職の役割も含まれる。そのため、教員構成比に不均等があれば、それは「隠れたカリキュラム」として機能することになる。そして子どもたちが、当然のこととしてそれを受け止め、不均衡の疑問点に気づかなければ、ジェンダーの不均衡が再生産されることになる」と述べています。宮城学院女子大学一般教育部の天童睦子教授は、著書の中で、ジェンダーは社会的・文化的につくられた性別であると定義し、言い換えれば、この概念は社会、文化、人々の心のありようが性の意味づけを変えていくことを示すと述べています。ジェンダーが中性的で客観的な響きのあるもの、そういった視点から捉え、人としての平等を意識し実践することは大切であると考えます。その実践における教育行政の役割は重要であると考えますが、所見をお聞かせください。 滋賀県では、平成十年から男女共同参画社会づくり副読本を作成し、男女共同参画の視点に立った教育の充実を図っているとのことです。当時は小学生用のみでしたが、令和四年度には中学校、高等学校用もできていました。加えて、家庭用も作成されているようです。この背景・動機として、法的には男女平等が進んでいるように思われるが、その男女平等も建前や知識だけで、実践が伴わない部分が多くある。一人一人の心の奥には、「女はかくあるべきだ」や「男だからこうあらねばならない」など、性別に関する偏見・思い込みが残っていないとは言えない。大人の社会には、性別によって生き方、考え方、役割などを決めてしまう意識や慣習・慣行が現存しており、それらは知らず知らずのうちに子供たちの生活習慣や考え方に大きく影響しているのが現状。真の男女平等社会を築くには、全ての人々がこのことを正しく理解し、学校、家庭、地域社会などあらゆる場において努力しなければならない。子供たちの健全な男女平等意識を培うには、学校教育の果たすは役割が大きいことは言うまでもないとしています。大切な視点であると考えます。このような副読本の存在をどのように受け止めるか、知事の御所見をお伺いします。また、男女共同参画の視点に立った、本県の具体的な教育の取組についてお伺いします。 大綱二点目、ひきこもり支援について。 みやぎ県政だより十一・十二月号に、県政ニュースとして、ひきこもりの記事がありました。「ひきこもりとは?」「どうしてひきこもるの?」「どんな気持ちでいるの?」などの項目で構成されており、対象者に寄り添った内容であると感じ、大変うれしくなりました。記事の最後には、相談窓口として、宮城県ひきこもり地域支援センター、南支所の連絡先とQRコード、精神保健福祉センターの電話番号の記載がありました。この記事を見て、一人でも多くの家から出られなくなっている方々、また、その御家族の目に留まり、アクションを起こしていただけることを願っています。ひきこもりの方々の実態調査については、私の一般質問の際に何度か取り上げている内容で、前回の答弁では、県内十七市町村で実態調査を実施または実施予定であり、調査方法は民生委員へのアンケートがほとんどである、引き続き市町村が行う実態調査の状況や課題などについて把握に努めるとの御答弁でしたが、その後の取組についてお伺いします。 県では、ツイッターにて、家から出られない方々へのメッセージを発信しています。そこには相談窓口の案内が記載されていますが、その後のフォローアップ体制は持たないとの担当課の回答でした。理由としては、SNS上ではそのやり取りが誰でも見ることができるため、個人情報等の問題にも関わるとのことでした。ツイッターというツールから勇気を振り絞ってアクションを起こした方の試みを無駄にしないためには、もう一歩踏み込んだ支援、そこからクリックすれば誰かに話を聞いてもらえるとか、ツイッターにはダイレクトメッセージで個別に返信できるので、返信すれば次の支援につながるなど、先につながる体制を整える必要があると考えます。大切なのは、情報を提供することにとどまることなく、その情報を具体の支援につなげていくことだと考えます。いかがでしょうか、お伺いします。 先日、一年ほど家から出られなくなっていた方から、お話をお伺いする機会がありました。御家族の勧めに応じて、少しずつ相談窓口に足を運び、同じ悩みを持つ方々への相談者として活動するようになり、今、大学進学に向けた勉強をしています。ぜひ進学して、御自分の未来を築いていってほしいと願っております。また、その方に、現在不安や困っていることについてお伺いしたところ、今の悩みは社会との壁であるとのことでした。その社会との壁とは、アルバイトで仕事をしているとき、時々、何をしたらよいか、どう動くべきか分からなくなると言います。そんなときオーナーから、「もう大人でしょ、自分で考えて行動して」と言われ、そのことがアルバイトに行くことへの怖さになっていると話してくださいました。やっと家の外の世界と交流できた彼が、また外の世界は怖いということにならないように、この壁を乗り越えていってほしいと願うところであります。ひきこもりの方たちが、この社会との壁を乗り越えることができずに、やっぱり自分は何もできない、どうせ仕事はできないといった悪循環になり、また引き籠もるケースや、その後就労に結びつくのが難しくなることも多いとの関係者の皆さんのお声も、私の下に届いています。県では、就職氷河期世代向けの案内のしおりの発行や、今年度、働く一歩という応援制度も実施しているとのことです。ただ、これらの取組は、全て申請する仕組み、当人がアクションを起こさなければいけない制度です。申請する仕組みでは、自分からアクションを起こすことが困難な方々への支援としては、なかなか難しいものがあると考えますが、いかがでしょうか、お伺いします。 ひきこもりの方々は、保障の枠から外されがちな、いつも取り残された存在であると感じます。今ある命を大切にし支援していくことは、とても重要であるといつも感じています。前回も申し上げましたが、二十五歳を起点に生涯生活保護を受けた場合と勤労した場合の社会保障のコストギャップは、約一億円以上にも及ぶと試算されています。少しずつ外に出られるようになり仕事をしようとしたとき、その芽を摘んでしまわないような、切れ目ない支援を切に願うものであります。ひきこもりの人たちは、就労希望は強くあるのですが、一般社会で言われる年齢相応の社会性などは身についていません。高齢者の方はなおさらハードルが高いので、その身についていないところや仕事体験ができる居場所、リハビリセンター、そういった機能を持つ寮生活などの必要性を、支援者側の皆さんは強く訴えていらっしゃいます。そして、私もその必要性を痛感いたしました。前回の一般質問で、このような場の提供に関して提案させていただきました。回答として、職場体験や履歴書の作成訓練、パソコンの基礎講習等による就労準備支援事業を行い、就労準備の機会の提供を行っているとの御答弁でしたが、社会に参加していこうと頑張っている方々への切れ目ない支援の受皿となる中間就労の場の創設など、県として更に検討すべきと考えます。いかがでしょうか、お伺いします。 本来、未来を担う若者、中高年の方々のためのこうした支援は、大切な人材育成であると考えます。これらの皆さんが就労し、所得税を払い、社会保障に頼らなくても済む社会に変わることは、県経済においても好循環となります。福祉の県を目指す村井知事とお伺いしています。家から出られず自己を肯定できずにいる方々、無気力になっている方々への更なる支援を切に願うところであります。御所見をお聞かせください。 大綱三点目、東北学院大学新キャンパスにおける課題について。 近年、キャンパスを都市の中心街に移す動きが、首都圏以外の大学でも広がってきているという報告がありました。東北学院大学は、来年四月に、五橋キャンパスを新設します。郊外の二つのキャンパスから移転し、近くの土樋キャンパスと合わせ一万人を超える学生が、市街地にある両キャンパスで学ぶことになります。立地場所は、JR仙台駅から徒歩十五分。地下鉄やバス停もあり、大変恵まれた場所でありますが、学生の交通手段といえば、交通費もかからない徒歩、そして、何といっても自転車になると思われます。近くには専門学校もあり、ほとんどの学生が自転車で通学しており、今後、更に自転車人口は増えると予想されます。自転車においては、左側通行を守らないことで、とても危ないと感じている地域の方のお声もいただいております。近くには小学校もあるとのことで、これから更に大きな学生街となる地区における交通対策についての県警のお考えをお聞かせください。規制に関しては、安心・安全に加えて、多様な方々への公正さにも配慮していただきたいと考えるところであります。 今回の質問をするに当たり考えたことは、自分はどう生きてきたかについての問いでした。性差、人種、環境、性的指向など、人それぞれ様々なものを背負って生きています。お互いが許容し合える寛容な社会、自分であることを大切に生きていく社会が、今まさに求められていると感じます。そんなよりよい社会に向けて、これからも県民の皆様がより安全で心から安心できる宮城県となるために努めていきたいと考えます。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 三浦ななみ議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 大綱二点目、ひきこもり支援についての御質問にお答えいたします。 初めに、市町村が行う実態調査のその後の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県において、現在の市町村の実態調査実施状況等について確認したところ、十八市町村が実態調査を実施済み、二つの市町村が今年度中に実施予定となっております。合わせて二十市町村です。調査方法については、多くの市町村が民生委員や児童委員に対するアンケートによるものであり、住民検診等の申込書類と同封するなど工夫して、全戸を対象にアンケート調査を実施した市町村もございました。また、調査未実施の市町村からは、調査を実施する人員や調査方法、支援ノウハウの不足などが課題として挙げられております。県としては引き続き、市町村ひきこもり支援担当者会議等を通じて、調査未実施の市町村への助言を行うなど、取組を支援してまいりたいと思います。 次に、申請に向けた支援についての御質問にお答えいたします。 就職氷河期「働く一歩」応援制度は、就職氷河期世代等の長期間働いていなかった方々を対象に、ハローワークやみやぎジョブカフェ、自立支援相談センターなどと連携し、ワンストップ相談を行うとともに、生活習慣の形成や就業の基礎知識の習得などのきめ細かな支援を行い、就職に向けた第一歩となる就業体験につなげることを目指すものであります。この応援制度をより多くの方に御利用いただくためには、制度の情報が届くことが重要であり、このため、宮城県若者自立支援ネットワークを構成する関係機関などの協力を得ながら、丁寧な情報発信に努めております。その上で、就労に関心が芽生えた方々については、ネットワークを構成する関係機関からお知らせいただき、応援制度の活用を促すことにより、一人でも多くの就職に結びつけるよう取り組んでまいります。 次に、中間的な就労の場の創設に関する御質問にお答えいたします。 ひきこもりの方の自立のためには、早い時期での把握から相談対応、居場所の提供、就労訓練、社会参加支援など、個々の状態に応じ、切れ目のない支援が重要と認識しております。県では、ひきこもりの方を含む就労支援として、国が県内三か所に設置した地域若者サポートステーションと連携し、就労に踏み出したい方が自力で、就職活動を行えるよう、職場体験などのジョブトレーニングをはじめ、個別相談やカウンセリングなどを行っているところであります。今後、引きこもりの方の社会参加や就業に向け、ひきこもり地域支援センターと地域若者サポートステーションなど、関係機関の更なる連携強化を図ってまいります。 次に、家から出られず自らを肯定できない方などへの更なる支援についての御質問にお答えいたします。 ひきこもりの方を含め、誰もが希望に応じて社会参加できる体制整備が求められており、自己肯定できず引き籠っている方々への支援は重要であると考えております。県では、ひきこもり支援として、ひきこもり地域支援センターや保健福祉事務所において、本人や家族に対する相談や家族教室、支援者の研修のほか、地域で活動する民生委員等を対象に人材育成を実施するとともに、ひきこもり状態にある方が社会参加に向けた一歩を踏み出せるよう、居場所と他者との交流の場を提供するひきこもり居場所支援モデル事業など、様々な取組を実施しております。県としては、関係機関と協議をしながら、ひきこもりの方々の社会参加に向けた更なる取組を検討してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 環境生活部長佐藤靖彦君。    〔環境生活部長 佐藤靖彦君登壇〕 ◎環境生活部長(佐藤靖彦君) 大綱一点目、教育行政についての御質問のうち、男女共同参画の視点に立った副読本に対する受け止めについてのお尋ねにお答えいたします。 男女が互いに人権を尊重しつつ、責任を分かち合って、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を構築するに当たり、教育の果たす役割は、大変重要であると認識しております。このため、昨年三月に策定した宮城県男女共同参画基本計画第四次においては、「学校教育の場で、人権の尊重を基盤とし、男女共同参画に関する理解を促進していくよう努める」こととしております。現在我が県では、ホームページに子供向けの男女共同参画に関する啓発資料を掲載し、教員研修会等において活用を促しているほか、小冊子を作成し、県民を対象としたセミナーや、高校、大学で開催するワークショップなどで配布し、普及啓発を行っているところです。滋賀県で作成した小中高校生等を対象とした男女共同参画に関する副読本などについては、児童生徒が理解を深める上で有効なものであると考えており、今後の取組の参考としてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、ひきこもり支援についての御質問のうち、SNSの活用についてのお尋ねにお答えいたします。 県のひきこもり地域支援センターでは、ひきこもりの方にとって社会との接点や心のよりどころとなることを目的に、ツイッターでセンターの日常や取組の雰囲気、スタッフの様子等が分かるような情報を発信しております。運用に当たっては、本来の支援対象ではない方からの不適切なコメント等を防ぐため、ツイッターは情報発信専用にしており、センターに興味を持たれた方からの個別相談や問合せ等については、センターへの電話連絡を周知しているところですが、今後、具体の支援につなげるためのSNSの活用方法について検討してまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、教育行政についての御質問のうち、国が作成した、学校における男女共同参画の推進のための教員研修プログラムの実施状況についてのお尋ねにお答えいたします。 男女共同参画社会の実現に向け、男女共同参画に関する教職員の理解を促進することは、児童生徒の男女共同参画意識を育むための基盤ともなるため、とても重要なことであると認識しております。これまでも、総合教育センターにおいて実施する教職員研修の中で、初任者、新任校長、新任教頭に対する悉皆研修のタイミングを捉えて、男女共同参画を取り上げ、その意識の醸成を図ってきたところであります。御指摘の学校における男女共同参画の推進のための教員研修プログラムについては、国から普及啓発リーフレットが送付され、県教育委員会としても、各学校等に周知しております。これら有効な教材の学校での活用も促しながら、男女共同参画に関する教職員の意識の向上を図ってまいります。 次に、ジェンダーに関する教育行政が果たす役割についての御質問にお答えいたします。 性別に関わりなく、自らの意思によってあらゆる分野における活動に参画していく社会の実現に向けては、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みにとらわれない機運を社会全体で醸成していくことが不可欠ですが、とりわけ学校教育は、人間の意識及び価値感の形成に果たす役割が大きく、教育行政の役割も重要であると認識しております。県教育委員会としましては、第四次宮城県男女共同参画基本計画に基づき、男女共同参画に関する意識を高める指導の充実や、教職員・保護者等の理解の促進、性別にかかわらず社会人・職業人として自立する上で必要な能力を育む、キャリア教育の推進などの施策を行っているところです。今後も、教育活動の様々な場面で、全ての人が性差にとらわれず互いに人権を尊重し合い、誰もが自分らしく生き生きと生活していくことができる社会の実現に向けた取組が進むよう努めてまいります。 次に、教育面における我が県の具体的な取組についての御質問にお答えいたします。 県内の小中学校では、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じ、学校教育全体を通じて、人権の尊重や男女の平等、共に協力し尊重し合い、充実した生活づくりに参画することの重要性について、指導の充実を図っております。また、県立高校では、公民科や家庭科の授業等を中心に、性別にかかわらず主体的に家庭や地域の生活を創造する資質・能力の育成に努めているほか、特別活動において、外部講師を招いた講演会やワークショップを実施し、多様な性に関する認識や他者の個性の尊重に関する理解の深化を図るなど、学校の実情に応じた取組を行っております。今後も、学校教育全体を通じて、男女共同参画の更なる推進に向け、児童生徒の理解や意識を高めるよう取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 警察本部長原幸太郎君。    〔警察本部長 原 幸太郎君登壇〕 ◎警察本部長(原幸太郎君) 大綱三点目、東北学院大学新キャンパスにおける課題についての御質問にお答えします。 来年四月に開校する東北学院大学五橋キャンパスについては、これまで、大学側と交通安全対策の打合せを行い、学生の通学経路等について検討するとともに、歩行者等の増加に対応するため、信号サイクルの変更などの準備をしています。また、同キャンパス周辺には、大学や小中学校等が集中していることから、周辺道路を自転車指導啓発重点地区・路線に指定し、自転車の交通指導取締りや安全利用に対する広報啓発等の諸対策を強化しているところです。今後とも大学側と連携を図り、学生の通学手段等の実態に応じた交通安全教育を行うとともに、周辺道路における交通環境の構築に努め、安全を確保できるよう、的確な交通対策を推進してまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 十二番三浦ななみ君。 ◆十二番(三浦ななみ君) 御答弁ありがとうございました。私の言いたいことをしっかりと伝えることはとても難しいなと、やはり大綱一点目、二点目につきましては考えるところであります。引き続き、この問題はしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、皆さんも私の質問をしっかりと考えていただき、前向きに今後は考えていただきたいと考えました。 それでは、大綱三点目の先ほどの県警本部長の答弁なのですけれども、大学と連携してこれからも考えるということですが、これに地域の方というのはやはり一緒になって考えていく、そういった方向でいらっしゃいますか、お伺いします。 ○副議長(池田憲彦君) 警察本部長原幸太郎君。 ◎警察本部長(原幸太郎君) 基本的には、仙台中央警察署が管轄をしておりますが、地域住民の皆さんとは、警察署協議会などを通じて意見を吸収しつつ調整して、地域の安全の確保に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 十二番三浦ななみ君。 ◆十二番(三浦ななみ君) ありがとうございます。東北学院大学キャンパスについては、来年、一万人以上が出入りする大きな学園都市になるのではと、皆さん大変期待を寄せております。私も、若林区選挙区として大変楽しみにしているところではありますが、県としても、仙台市とともに協力できることはたくさんあるのではないかと考えます。知事はこちら、どのように期待されているのでしょうか、お伺いします。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 若い人たちが集まってくるということは、当然、そこに活力が生まれるということでありますので、恐らく地域の皆さんも大変楽しみにされていると思いますし、地域の不動産なども恐らく活況を呈するのではないかなと思います。当然これは、基本的にはまちづくりに関することでありますので、一元的に仙台市がいろいろと考えることでありますけれども、協力できることは、先ほど県警本部もいろいろ考えるということでございますので、一緒になって力を合わせて、よりよいまちづくりのためにお手伝いしていきたいと思っております。 ○副議長(池田憲彦君) 十二番三浦ななみ君。 ◆十二番(三浦ななみ君) 前向きな御答弁ありがとうございました。終わります。 ○副議長(池田憲彦君) 八番柏佑賢君。    〔八番 柏 佑賢君登壇〕 ◆八番(柏佑賢君) 自由民主党・県民会議の柏佑賢です。議長のお許しをいただきましたので、本日最後の一般質問、大綱三点について質問させていただきます。 まず初めに、大綱一点目、県の観光振興への取組についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大から三年が経過しようとしている現在でも、国内では、既に第八波の到来もうかがわれる感染者数の急増など、完全な終わりが見通せない状況にありますが、県民が安心して暮らせるよう、一日でも早い収束を願うばかりであります。この間、知事をはじめ県当局の皆様には、感染症対策、医療体制の確保、ワクチン接種のみならず、飲食業や宿泊観光業に対する経営支援や需要喚起策などの経済対策を、間断なく矢継ぎ早に実施していただいており、心から敬意を表する次第であります。そこで、知事も常々お話しになっている感染症対策と経済活動の両立の観点から、裾野の広い観光産業の再生に向けた取組について、質問させていただきます。 宿泊業をはじめとする観光業界にとって、この三年間は、観光客や宿泊客が大幅に減少し、非常に厳しい経営状況が長期にわたって継続しております。特に、流行当初は、不要不急の外出制限によって、観光客数がほぼゼロに近い状況になったとも伺っております。感染症流行前には、過去最高の観光客の入込数や宿泊者数を記録しておりましたが、新型コロナウイルスの影響で、この間の宮城県の観光客入込数、宿泊観光客数及び観光消費額が、感染症流行前と比べてどの程度落ち込んだのか、お伺いいたします。 県では、十月から、第五期みやぎ観光戦略プランがスタートいたしました。感染症流行の中で先が見えず、四期プランを数度にわたって延長し、刻々と変化する状況に対応しながら、観光振興に当たってこられました。ようやく策定された新たなプランでは、感染症流行で大きく落ち込んだ観光需要の回復に向けた回復戦略と、今後の観光振興に向けた成長戦略で構成されており、令和六年度末までの二年半の計画期間の中で、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えながら、宮城の観光産業を将来に向けてしっかりとつないでいくための指針となるものと認識しているところであります。このプランのスタートが、ちょうど十月十一日にスタートした全国旅行支援や水際対策の緩和の時期と重なったことは、宮城県の観光の再生に向けた大きな意味を持つのではないでしょうか。現在、経営が非常に厳しい状況となっている観光事業者にとって、早くコロナ前に戻ってほしいということは、切実な願いであります。県として、大きく落ち込んだ観光需要について、この機会を捉え、どのような戦略でV字回復させていこうとしているのか、お伺いいたします。 さて、観光産業の基盤となる宿泊施設では、多くの従業員を抱え、多数の取引企業を有しており、また、周辺の観光施設への波及効果も高いなど、地域経済を支える裾野の広い産業であると言われています。県では、これまで、感染症の流行の状況を見据えながら、極めて厳しい宿泊・観光事業者の事業継続に向けた対策の一環として、様々な観光需要喚起策を実施してきました。また、現在実施している全国旅行支援については、報道にもあるように、販売と同時に売り切れる旅行会社も多数あるなど、全国的に多くの観光需要が創出されており、宮城県内も数多くの観光客でにぎわい、週末を中心に予約が取れない状況が続くなど、久々に明るいニュースとなっております。先日三十日に観光庁が公表した十月の宿泊旅行統計によると、コロナ禍前五・八%増の四千二百十万人とのことでした。一方で、現在の事業は十二月下旬で終了となっており、長期にわたって需要が低迷してきた事業者にとっては、その先の対応に不安を覚えていることも事実であります。私自身、三年近く落ち込んだ宿泊・観光業者の経営をしっかりと支えるためには、年明け以降も継続した需要喚起策が必要であると考えておりましたが、先日、年明け以降も全国旅行支援の実施を継続するとの報道がありました。県としては、これまで取り組んできた需要喚起策の効果について、どのように評価をしているのか、また、年明け以降の需要喚起策については、どのような方針で取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、観光・宿泊需要の喚起のためには、国内旅行客だけではなく、消費単価の高い海外からの観光客を受け入れる必要があります。国でも、十月十一日から水際対策が緩和され、全国的に外国人観光客が増えてきており、松島をはじめ県内でも、外国人旅行客を目にする機会が増えてきました。更に、年明けには、延期されていた台湾からの定期便の再開という喜ばしい報道もありました。今まさに、我が県へのインバウンドの誘致は、円安の効果もある中、大きなチャンスであり、宿泊事業者などからの期待の声も数多く寄せられているところであります。県としてのインバウンドに対するこれまでの取組と現状認識、今後の具体的な誘客の取組について伺います。 さて、観光需要の回復とともに、観光消費額を増加させていくことは、裾野の広い観光産業全体の経済回復に向けて重要であると認識しているところです。県では、六月補正で観光DX--デジタルトランスフォーメーションの観点から、観光施設等の混雑状況の可視化に取り組む事業を予算化しており、この趣旨は、混雑している施設の待ち時間を、比較的すいているほかの施設などへ誘導し、滞在時間の有効活用と観光消費額の増加を目指すものと聞いております。十月下旬に松島町で行われた国道四十五号の車両乗り入れを規制する社会実験とともに、この観光交通機能強化事業に取り組まれたと伺いましたが、具体的にどのようなことを実施し、どのような効果があったと分析されているのか、また、現在も継続されている取組の結果を踏まえて、今後どのように展開しようとお考えになっているのか、県のお考えをお聞かせください。 塩竈市街地や浦戸諸島を含む松島湾エリアでは、松島湾ダーランド構想に基づき、平成二十八年度から、広域連携による地域の観光産業の振興を目指して、地元三市三町と仙台・松島DMO、住民の方々が官民一体となって取り組まれ、松島湾の魅力を活用した周遊ツーリズムや、農業、漁業体験等の学習コンテンツなどによって、従来型の観光から将来を見据えた観光の取組が進められております。このたび、東松島市では、九月に国際的な認証団体グリーン・デスティネーションズの持続可能な観光地トップ百選に県内で初めて選出されるなど、注目が集まっています。今後、県として、このエリアでどのように取り組んでいく考えなのかお伺いいたします。 次に、大綱二点目、塩釜地区の港湾整備と離島振興策についてお伺いいたします。 仙台塩釜港塩釜港区の港奥部にあります北浜防潮堤については、今年七月四日に塩竈市魚市場で開催された工事説明会に、地元の方々や天下議員、市議会議員の方々と一緒に出席させていただきました。説明会では、仙台地方振興事務所から、大型重機械が稼働するために必要な地盤補強工事の着手と、その後の防潮堤背後の地盤改良、防潮堤や公園の整備などを進め、早期完成に向け取り組んでいくとの説明がありました。私も現地に幾度となく足を運んでおり、地盤改良や公園の整備工事が進められている状況を確認しております。そこでお伺いいたします。地震や台風などの自然災害が頻発する中で、北浜防潮堤を一日も早く完成させる必要があると考えますが、工事の進捗状況と完成の見通しについてお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症拡大による交流人口の減少、ガソリンや電気をはじめとするエネルギー価格や食料などの高騰、更に円安の影響もあり、私が住んでおります塩竈市内でも、多くの飲食店などが閉店を余儀なくされ、市街地は全体的に元気がなく、深刻な影響が出ています。これらを受け、塩竈市では今年四月に、「海と社(やしろ)に育まれる楽しい塩竈」を都市像として、今後十年間の市政運営の指針となる、第六次塩竈市長期総合計画を公表しました。この中では、観光の顔となる鹽竈神社や門前町地区、ベイエリアとマリンゲート地区などの魅力と回遊性の向上を図り、観光交流によるにぎわいづくりが掲げられております。また、塩釜港区には、整備中の北浜緑地公園や千賀の浦緑地、松島や離島を結ぶ観光船の玄関口であるマリンゲート塩釜をはじめ、鹽竈神社や塩釜水産物仲卸市場など、多くの観光資源があります。これら施設の特性を生かし、海辺空間の一体的な活用による、魅力的なベイエリアの創出につなげていく必要があると考えております。そこでお伺いいたします。塩釜港区を活性化させるためには、北浜緑地公園を含めた港奥部のにぎわいの創出が必要と考えますが、県のお考えをお聞かせください。 次に、松島湾内の最奥部にある塩釜港区は、天然の良港として、これまでも地域の経済や文化の発展に重要な役割を担ってきており、現在も、石油製品や冷凍水産品などを扱う小型貨物船が数多く入港しております。また、特別名勝松島の観光船の基地、浦戸諸島への連絡船の基地として、観光と生活を支える重要な役割を担っております。当塩釜港区内の航路・泊地については、東日本大震災の津波により、瓦礫や土砂等が堆積したことから、これまで航路啓開やしゅんせつ工事により水深を確保していただき、安全な船舶航行が行われてきたものと思っています。一方、先日、港湾利用者との意見交換や働く方から話を聞く機会があり、貞山地区周辺の航路や泊地の一部が水深マイナス七・五メートルより浅く、入港船舶の航行に支障を来すことがあるので、航路などのしゅんせつを行ってほしいと聞いていることから、塩釜港区に安心して船舶が入出港できるよう、航路や泊地の水深維持が必要と考えますが、航路・泊地の水深維持に向けた現状と、今後のしゅんせつの見通しについて伺います。 次に、塩竈市浦戸諸島は、仙台藩の時代から、地理的条件により舟運の拠点港として栄えてきました。そんな浦戸諸島四島五地区を結ぶ唯一の交通機関が定期航路でありますが、その定期船が発着する係船岸壁のうち、朴島地区のみ浮桟橋が設置されていない状況であります。この朴島地区は、菜の花が見頃を迎える頃には多くの観光客が訪れ大変にぎわっており、今後の浦戸諸島全体のにぎわいの創出など離島振興策を考える上でも、利用者の安全確保は大変重要であります。定期船が発着する岸壁は、県土木部が管理する建設海岸であるとのことでありますが、現在、潮位から生じる岸壁との高低差により、定期船を利用する島民及び観光客の乗降時に影響が生じております。つきましては、島民の日常的な乗降をはじめ、観光客など利用者の乗降時における安全を確保する上でも、朴島地区にも一日も早く浮桟橋が設置されればと思います。かつて、十数年前に桂島石浜地区に浮桟橋が設置され、しかも屋根つきの桟橋で、住民の方々、特に年配者の方からは、潮の干満に関係なく船への乗降が楽になったと、大変喜ばれ感謝されています。何とぞ、知事の設置に向けた御英断を期待しておりますが、県のお考えをお聞かせください。 次に、国土交通省では、脱炭素社会の実現に向けて、二酸化炭素排出量の多くを占める発電所や鉄鋼などが立地する臨海部産業の拠点、エネルギーの大消費拠点となっている港湾において、温室効果ガス排出量を全体としてゼロにするカーボンニュートラルポートを形成することにより、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に貢献していくとしています。また、県では、今年から仙台塩釜港カーボンニュートラルポート協議会を立ち上げ、その中でカーボンニュートラルポート形成計画策定の検討が進められていると伺っております。九月の定例会の予算総括質疑でも質問いたしましたが、仙台塩釜港におけるカーボンニュートラルポート形成計画策定の進捗状況と、今後の見通しについてお聞かせください。 次に、大綱三点目、松島の交通社会実験についてお伺いいたします。 松島の交通社会実験につきましては、前回の九月定例会において、地元の櫻井正人議員が質問されましたが、塩竈市をはじめ隣接する市町にとりましても、今後の観光振興施策を考える上で非常に関連がありますので、今回の実験結果及び今後の取組方針などについて、改めて質問させていただきます。去る十月二十八日金曜日から三十日日曜日の三日間、県や国、松島町、県警をはじめ、宮城県トラック協会、地元観光協会や商店会等で構成する松島町交通社会実験協議会が実施主体となり、交通社会実験が実施されました。内容は、各日午前十時から午後三時まで、松島海岸地区の国道四十五号のJR松島海岸駅交差点から松島第一駐車場交差点までの約七百メートル区間で、大型車両の通行規制を行い、うち二百五十メートル区間は、緊急車両を除く全車両を通行規制し、車道をにぎわいの空間として開放し、オープンカフェやイベント等を開催するほか、松島町営駐車場等の周辺駐車場から松島海岸地区中心部まで、二次交通として循環シャトルバスを運行するものでありました。私も、二十九日土曜日に、現地を見させていただきました。当日は、晴天の下、奥の細道の旅で松島を訪れた江戸期の俳聖松尾芭蕉の衣装を身につけた村井知事や、松島高校の松島武将隊と規制された車道を歩きましたが、これまでの松島海岸とは全く違った風景に、驚きと感動したことを今でも鮮明に覚えています。車道上では、設置された椅子で子供とくつろぐ家族連れや、七ヶ浜国際村で活動しているミュージカルグループのダンス、トヨタのラリーカーの展示、遊具を設置した子供広場で無邪気に遊ぶ子供の姿をはじめ、特に感動したのが、国道四十五号沿いにあるお土産屋さんに吊るしてある風鈴の音が、心地よく耳に入ってきたことです。国道四十五号は、重要物流道路に指定されている主要幹線道路ですので、大型車の通行が多いことは仕方ありませんが、この三日間、まさに松尾芭蕉が訪れた時代にタイムスリップし、松島の魅力を改めて実感することができました。今回の交通社会実験の実施に当たっては、国道四十五号の迂回路として、県道仙台松島線利府街道など周辺の県道・町道を設定しておりますが、一部報道によると、若干の渋滞は発生したものの、おおむね著しい渋滞は発生せず、通行規制に大きな混乱はなかったとありました。また、観光客からも、「いつもは車の騒音で人の声が聞き取りづらい場所だが、今日は非常に静か。大勢の人が楽しそうな顔でくつろいでいる」などと、好意的な意見が多くありました。その一方で、観光施設や飲食店、土産店など、周辺の複数業種の事業者が前週の同時期と比べた入込客数や売上げの減少を訴えており、因果関係は不明だが事業者の多くが、通行規制のため車での来訪が敬遠された可能性を指摘しています。交通社会実験の趣旨を否定する事業者は少ないものの、来年度に向けて改善を求める声が上がったとありました。私も現地に赴き、交通社会実験の現場を確認させていただきましたが、私としては、今回の社会実験は成功だと思っております。今後、松島交通社会実験協議会において、社会実験の効果検証と課題把握を行うと思いますが、現時点で県が確認、整理している効果や課題について伺います。また、村井知事は、当日の記者会見で、今回の反省点を改善し、来年度以降も継続的に通行規制を実施したいと話されております。そして、櫻井公一松島町長も、「観光地として新たな取組の第一歩が踏み出せた。いずれは毎週末、歩行者天国になるように、町として働きかけたい」と先を見据えております。そこで、県では、来年度も交通社会実験を実施する予定と伺っておりますが、今後の継続的な実施に向けてどう取り組んでいくのか、その対応方針についてお伺いいたします。 今後、松島海岸地区の国道四十五号を継続的に通行規制するのであれば、重要物流道路や国管理国道のままでは難しいと思います。村井知事は、今後の継続的な通行規制の実施に向けては、「いずれは国道四十五号の付け替えを目指す」と話されました。加えて必要になるのが、国道四十五号の迂回路となる県道仙台松島線利府街道をはじめとする周辺道路の更なる機能強化です。特に、利府街道については、高城川付近の愛宕橋交差点をはじめ、ふだんから渋滞が発生しておりますし、松島海岸インターチェンジから松島町初原地区にかけては、車道や路肩の幅員が狭い箇所もあり、大型車両の円滑な通行に支障を来す可能性もあります。そこで、県として、国道四十五号の迂回路となる県道仙台松島線利府街道をはじめとする周辺道路の更なる機能強化に向けて、今後どう取り組むのかについて伺います。 一方で、今回の交通社会実験は、私の地元である塩竈市においても、大いに参考になると考えております。鹽竈神社の門前町エリアである県道塩釜吉岡線や国道四十五号沿いでは、昔ながらの建物が立ち並び、歴史と文化、風情を今に残す景観を有しておりますが、道路を含めた沿道には、観光客がゆっくり滞在できるベンチやあずまやなどの休憩スペースがありません。今後、鹽竈神社を訪れた観光客に安全で安心して門前町エリアを周遊していただくためには、道路空間を有効に活用した休憩スペースの設置や、沿道の商店等と連携したにぎわいづくりが必要であると、改めて認識したところであります。そこで、港奥部のにぎわい創出と併せ、鹽竈神社の門前町エリアにおいても、県道塩釜吉岡線、国道四十五号及び周辺市道を有効に活用しながら、観光客が安心して周遊できる環境整備やにぎわいの創出に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、県の見解をお聞かせください。 また、塩竈市においても、多くの観光客の方々が円滑に移動するためには、恒常的となっている渋滞の緩和対策が喫緊の課題となっております。そのため、広域的な高速道路網である三陸自動車道の多賀城インターチェンジと直接接続することができ、仙台市と塩竈市の両市街地を結ぶ主要な幹線道路となる都市計画道路玉川岩切線の整備が大変重要であると考えており、県では、令和二年度に策定した宮城の道づくり基本計画において、地域生活を支える道づくりとして、その整備を位置づけているところです。しかし、その整備に当たっては、既にある宅地等への影響が少なくないことから、現在、都市計画道路の見直しについて、塩竈市、多賀城市、利府町の二市一町で行っていると伺っております。今後、都市計画道路玉川岩切線についてどのように進めていくのか、県の見解をお聞かせください。 日本三景松島は、我が県を代表する観光地でありますが、新型コロナウイルス感染症の影響で観光客の入り込みが低迷しており、今回の交通社会実験は、観光客の回復と更なる拡大に向けて絶好のチャンスになったと思います。今回の取組については、松島町のみならず、松島への遊覧船が発着する塩竈市、天然の桟橋表松島の馬の背を新たな観光地としてPRに力を入れている利府町、多賀城創建千三百年を迎える多賀城市をはじめ、風光明媚な奥松島地区を抱える東松島市など、石巻圏域を含めた周辺市町も、その波及効果を期待しておりました。交通社会実験当日には、利府町がボンネットバスによる馬の背ツアー、東松島市が宮戸島遊覧船ツアーを実施したほか、塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町、石巻市がPRブースを設置するなど、今後、日本三景松島を中心とした観光ツーリズムの構築に向けて、まさによい機会になったのではないでしょうか。松島町をはじめ、周辺市町の広域的な周遊観光をより一層促進するためには、円滑な移動が重要になると考えております。これまでは、自動車による来訪、移動が中心となっておりますが、渋滞状況を踏まえれば、塩釜港を発着する遊覧船やJRなどを積極的に活用すべきです。塩釜から松島の遊覧船運賃は、片道千五百円、往復二千円と、往復運賃が割安なこと、観光桟橋前の駐車場を利用した松島めぐりも一味違うことから、様々な交通手段の選択肢があることを情報発信すべきと考えますが、今後、県としてどのように取り組んでいくのかをお伺いし、壇上からの一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(池田憲彦君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 柏佑賢議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず、大綱一点目、県の観光振興の取組についての御質問にお答えいたします。 初めに、観光需要回復に向けた取組についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、今年十月から令和六年度までを計画期間とする第五期みやぎ観光戦略プランをスタートさせたところであり、まずは、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ観光需要の早期回復に向けて、ワーケーションの受入れ促進や宿泊施設のビジネスモデル転換など、多様化する観光ニーズに対応した取組を、宿泊需要喚起策などとの相乗効果を図りながら実施することとしております。また、十月からの水際対策の緩和をインバウンド回復の好機と捉え、訪日意欲の高い台湾、韓国等の東アジアやタイなどを主要ターゲットに、東北観光推進機構や東北各県と連携しながら、旅行博覧会への出展や旅行会社等の招請など、誘致活動を一層強化することとしております。今後、需要回復後をにらんで、観光資源の他地域との差別化や高付加価値な観光コンテンツづくりを併せて進め、地域経済の好循環につながる観光振興を目指し、官民一体となって取り組んでまいります。 次に、インバウンドの現状認識と今後の取組についての御質問にお答えいたします。 県では、外国人観光客の誘致に当たり、新型コロナウイルス感染症に伴う渡航制限がある中でも、海外事務所や現地サポートデスクによる旅行会社訪問、SNSなどを活用した宮城のPRなど、本格的な再開を見据えた誘客活動を実施してまいりました。十月十一日に、個人旅行解禁やビザなし渡航の再開、入国者数上限の撤廃など、大幅に水際対策が緩和されたことから、日本を訪れる外国人観光客が増加してきており、県内の宿泊施設でも、台湾やタイなどの旅行会社からの問合せが寄せられていると伺っております。県といたしましては、円安のメリットや仙台空港への直行便再開の好機を最大限に活用しながら、これまでの取組に加え、東北観光推進機構や東北各県と連携した現地旅行博覧会出展、商談会参加などの直接的な誘客活動を一層強化してまいりたいと考えております。また、旅行を計画している方々に対する旅マエの旅行観光情報の提供や、日本を訪れている旅行者に対する旅ナカでの観光情報の発信、宮城を訪れて帰国した方々に対する旅アトのSNS投稿キャンペーンなど、観光DXを活用した取組も推進し、重層的な誘客に努めてまいります。 次に、大綱二点目、塩釜地区の港湾整備及び離島振興策についての御質問のうち、カーボンニュートラルポート形成計画策定についてのお尋ねにお答えいたします。 発電所や工場群が立地している港湾地域は、二酸化炭素排出量の約六割を占めていることから、脱炭素社会の実現のためには、港湾の果たす役割は非常に重要であると認識しております。このため、県では、今年六月に学識経験者や立地企業、関係団体などで構成する仙台塩釜港カーボンニュートラルポート協議会を設置し、カーボンニュートラルポート形成計画の策定を進めており、これまで二回の協議会を開催しております。現在、立地企業からのアンケート結果に基づき、仙台塩釜港全体の温室効果ガス排出量や水素等次世代エネルギー需要量の推計を行っているところであり、今後、温室効果ガスの削減計画や次世代エネルギーの受入れ環境の整備に係る基本的な方針などについて、検討を進めることとしております。県としては、引き続き立地企業や関係団体などと連携を図りながら、来年度内に当計画の策定を進めるとともに、水素等次世代エネルギーの受入れに必要な施設を次期港湾計画へ位置づけていくなど、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、松島の交通社会実験についての御質問にお答えいたします。 初めに、今後の継続的な実施に向けた対応方針についてのお尋ねにお答えいたします。 今回実施した交通社会実験については、日本三景松島の更なる魅力向上と、新型コロナウイルス感染症の影響により低迷した観光客の回復と更なる拡大を図る上で、大変意義のある取組であるものと認識しております。十月二十九日土曜日には、私も現地に赴き、歩行者天国となった国道四十五号において、散策を楽しむ親子連れや観光客の方々を目にし、改めて、来年度以降も継続して実施したいとの思いを強くしたところでございます。国道四十五号の継続的な通行規制の実施に当たっては、重要物流道路である道路機能を確保するため、迂回路となる県道仙台松島線をはじめとする周辺道路の安全で円滑な交通環境の整備はもとより、地元飲食店、ホテル等の観光事業者や、地域にお住まいの方々の御理解と御協力が何よりも重要であると考えております。県としては、今後、迂回路の交通解析結果や、観光客及び観光事業者、地域住民等へのアンケート結果などを基に、今回実施した社会実験の効果検証や課題抽出を行い、来年度の交通社会実験の準備を進めるとともに、継続的な通行規制の実施に向けて、松島町交通社会実験協議会において検討してまいりたいと考えております。 次に、鹽竈神社の門前町エリアの周辺道路を有効に活用した、にぎわい創出に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 陸奥国一之宮である鹽竈神社とともに歴史を刻んできた塩竈市の門前町エリアは、沿道沿いに老舗店舗等が立ち並ぶなど、我が県を代表する観光地であり、観光客が安全で安心して周遊できる環境整備やにぎわいの創出に向けた取組は、周辺市町との広域観光を促進する上でも、非常に効果があるものと認識しております。これまで県では、当該地区の県道塩釜吉岡線において、門前町に調和した電線の地中化や歩道照明灯などを設置したほか、塩竈市では、市道で石畳をイメージしたインターロッキング舗装を実施するなど、歴史と景観に配慮した道路整備を進めてきたところであります。県としては、門前町エリアの更なる魅力向上に向けて、にぎわいのある道路空間の構築を目的に創設されました歩行者利便増進道路制度、いわゆるほこみち制度を活用し、地域の方々との意見交換する場を設けながら、引き続き国や塩竈市と連携し、門前町にふさわしい道路空間づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱一点目、県の観光振興の取組についての御質問のうち、観光客入込数等の落ち込みの状況についてのお尋ねにお答えいたします。 県の観光統計では、観光客入込数は、過去最高だった新型コロナウイルス感染症流行前の令和元年の六千七百九十六万人に対し、令和二年は三千九百四十五万人と大幅に落ち込み、昨年も、速報値で四千四百九十九万人と、令和元年の約七割にとどまっております。また、宿泊観光客数は、令和元年の九百八十九万人泊に対し、令和二年が五百八十七万人泊、昨年が五百八十四万人泊と、令和元年比の約六割でありました。観光消費額は、令和元年の三千九百八十九億円に対し、令和二年が二千四百九十八億円、昨年が二千六百二十四億円と、令和元年に比べ大幅に縮小しております。なお、直近の状況として、宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合の調べによる十月の県内の宿泊状況は、全国旅行支援の効果により、感染症流行前の水準まで回復しており、県といたしましては、引き続き国の支援策も活用しながら、観光需要の喚起に鋭意努めてまいります。 次に、宿泊需要喚起策の評価と今後の対応についての御質問にお答えいたします。 県では、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく落ち込んだ宿泊観光需要の回復を目的とし、これまで継続的に宿泊需要喚起策を実施してきたところであり、全国旅行支援前までの実績は、合計約百十三万人泊となり、宿泊観光事業者の事業継続に一定の効果があったものと評価しております。現在実施中の全国旅行支援では、これまでのところ、予約も含め約五十四万人泊の見込みとなっており、宿泊事業者からは、需要回復に向けた手応えと期待の声が寄せられております。依然として厳しい状況にある宿泊観光事業者の事業継続のためには、需要喚起策の切れ目ない実施が必要と考えており、これまでも、全国旅行支援の延長などを国に対し要望してまいりました。先日、国から年明け以降の観光需要喚起策について、割引率を二〇%、割引上限額を交通付商品五千円、その他の商品三千円とするなどの実施内容が発表されたところであり、県といたしましては、開始日等の詳細について積極的に情報収集に努めるなど、着実な事業実施に向けて準備を進めているところです。 次に、松島における混雑状況の可視化の取組についての御質問にお答えいたします。 県では、観光施設や周辺駐車場における混雑状況をウェブサイト上で情報発信することにより、近隣施設等への円滑な周遊観光を促し、地域内での観光消費額の向上につなげる取組を進めており、松島においては、今回行われた交通社会実験の期間も含め、来年一月まで継続実施しております。具体的には、松島海岸エリアの県営駐車場や観光施設に九台のAIカメラと十台のセンサーを設置し、観光客がデジタルマップ上から混雑状況を把握できるようにしたほか、自動車以外の交通手段としてシャトルバスを設定するとともに、その時刻表やリアルタイムの運行状況をマップ上で表示するなど、域内移動の利便性向上を図っております。今回の社会実験期間中は、ウェブサイト閲覧数が約四千回、シャトルバス利用者が約千人であったことなどを踏まえると、円滑な移動と利便性の向上に効果があったものと考えております。県といたしましては、今年度の実施内容を検証し、来年度以降の継続実施について、関係団体とともに検討してまいります。 次に、松島湾エリアにおける観光振興についての御質問にお答えいたします。 このたび、東松島市が持続可能な観光地トップ百選に選出されたことは、大変喜ばしく、今後の松島湾エリアの観光振興にも大いに寄与するものと期待しているところであります。県では、これまで、松島湾エリアの魅力を一層高めるため、地元三市三町や仙台・松島DMOと連携し、官民が一体となって、松島海岸地区のみならず、各地区の特徴を生かした松島湾エリア全体の観光資源の磨き上げと情報発信に取り組んでまいりました。これにより、東松島市や利府町における漁業体験メニューや、塩釜水産物仲卸市場でのマイ海鮮丼、浦戸諸島を船舶でめぐる湾内周遊ツーリズムの造成など、各地区で新たな観光資源も生まれております。県といたしましては、日本三景に数えられる風光明媚な景観や瑞巌寺、鹽竈神社をはじめとする歴史文化など昔からの魅力に加え、新たに磨き上げられた観光資源を生かした教育旅行メニューの充実を図るなど、市町やDMO、関係者と連携しながら、松島湾エリアをより魅力的な観光地域とするよう取り組んでまいります。 次に、大綱三点目、松島の交通社会実験についての御質問のうち、松島地区への観光に関する交通アクセスについてのお尋ねにお答えいたします。 松島海岸を訪れる観光客の交通手段について、昨年度の観光客実態調査では、自動車を利用する方の割合が約六割、新幹線を含む鉄道の利用者が約四割となっております。現在、県では、市町や仙台・松島DMOと連携し、松島湾エリアにおける漁業体験メニューや、湾内をめぐる周遊ツーリズムなど観光資源の磨き上げと、これらを活用した旅行商品の造成などに取り組んでおりますが、各地区への交通手段や公共交通機関等に関する情報提供が課題となっております。県といたしましては、JR東北本線や仙石線、塩釜から松島への移動手段としての観光遊覧船など、松島湾エリアにおける多様なアクセス手段の利便性について、デジタルによる情報発信を強化するなど、しっかりとPRしてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 土木部長千葉衛君。    〔土木部長 千葉 衛君登壇〕 ◎土木部長(千葉衛君) 大綱二点目、塩釜地区の港湾整備及び離島振興策についての御質問のうち、北浜防潮堤整備の進捗状況等についてのお尋ねにお答えいたします。 北浜防潮堤の変状対策工事については、今年三月に応急対策工事が完了し、現在、恒久対策として、既設防潮堤背後の地盤改良を進めており、改良が完了した箇所から、順次、防潮堤を再整備することとしております。恒久対策については、極めて軟弱な地盤上での施工となるため、周辺住宅などに影響を及ぼさないよう、変位状況を確認しながら、慎重に工事を進める必要があることから、年度内の完成は厳しい状況となっております。県といたしましては、引き続き周辺の環境に十分配慮し工事を進めるとともに、地域の住民の方々に工事の進捗状況をお知らせしながら、一日も早い完成に向けてしっかりと取り組んでまいります。 次に、塩釜港区港奥部のにぎわいの創出についての御質問にお答えいたします。 塩竈市の中心市街地と隣接する港奥部は、松島定期観光船や離島航路が発着するマリンゲート塩釜を核とした観光・交流拠点であり、地域の活性化を図る上で重要な地区であると認識しております。このため、県では、平成二十五年に改訂した港湾計画において、港奥部を交流拠点ゾーンとして位置づけ、水面を活用したにぎわい空間を創出するため、親水緑地である北浜緑地公園などの整備を進めているところです。また、塩竈市では、今年四月に公表した第六次塩竈市長期総合計画において、港奥部を、北浜緑地公園とマリンゲート塩釜を一体的に活用し、海辺に親しむエリアとして魅力向上を図ることとしております。県といたしましては、塩竈市や関係団体等の御意見を十分伺うとともに、今後の仙台塩釜港の整備の在り方を検討する明日の仙台塩釜港を考える懇談会での議論を踏まえ、更なる港奥部のにぎわいの創出に向け、引き続き検討を進めてまいります。 次に、塩釜港区の航路・泊地の水深維持に係る現状と今後の見通しについての御質問にお答えいたします。 塩釜港区は、航路・泊地の一部において、入港する船舶に対応した水深が確保されていない箇所があることから、船舶の安全確保を図るためにも、航路・泊地の適正な維持管理が重要であると認識しております。このため、県では、定期的に水深の測量を行った上で、岸壁の使用頻度などを考慮し、優先順位をつけながらしゅんせつを実施しており、今年度から、貞山埠頭一号岸壁周辺のしゅんせつ工事に着手したところです。塩釜港区は、水産加工業をはじめ地域基幹産業などを支える重要な拠点であり、東北のエネルギー供給基地としての役割も担っていることから、県といたしましては、船舶が安全に安心して入港できるよう、引き続き航路・泊地の水深維持に向け、計画的にしゅんせつを実施してまいります。 次に、朴島地区への浮桟橋の設置についての御質問にお答えいたします。 浦戸諸島の朴島地区においては、既存の防潮堤や護岸などの海岸保全施設が東日本大震災により甚大な被害を受けたことから、復旧工事を行い、昨年六月に完成したところです。御要望のありました浮桟橋の設置につきましては、当地区が建設海岸であることから、海岸保全施設として整備することは難しいと考えておりますが、利用者の安全を確保する上でも重要な施設であると認識していることから、県といたしましては、定期船を運航している塩竈市と十分連携を図りながら、設置に向けた事業手法などについて検討してまいります。 次に、大綱三点目、松島の交通社会実験についての御質問のうち、現時点で把握している効果や課題についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、日本三景松島の更なる魅力向上に向けて、十月二十八日金曜日から三十日日曜日までの三日間、国や松島町、県警をはじめ多くの関係者の御協力の下、松島町交通社会実験を実施しました。当日は晴天にも恵まれ、多くの観光客が松島海岸を訪れるとともに、国道四十五号の迂回路においても著しい渋滞は発生しておらず、全体として大きな混乱もなく実験を終えることができたと考えております。現在、今回の実験の効果検証と課題抽出を進めており、迂回路の交通状況については、当日の交通量調査等の結果やETC二・〇のデータ等を活用し、周辺道路を含めた渋滞状況や通行経路等の分析を行っております。また、にぎわい創出の状況については、当日訪れた観光客へのアンケートのほか、今後、地元飲食店、ホテル等の観光事業者や宮城県トラック協会などの道路利用者、松島町民へのアンケートを行い、事業活動や日常生活への影響を把握することとしております。県といたしましては、今年度末までに、こうした効果や課題の取りまとめを行い、改善点や関係者からの要望等を踏まえ、来年度の交通社会実験の具体的な内容について検討してまいります。 次に、国道四十五号の迂回路として想定される周辺道路の機能強化についての御質問にお答えいたします。 松島海岸地区を通過する国道四十五号は、重要物流道路に指定されるなど、我が県沿岸部の産業経済活動を支える大変重要な基幹道路であり、継続的な通行規制の実施に当たっては、迂回路となる周辺道路の機能強化が不可欠であると認識しております。特に、今回の交通社会実験において、主要な迂回路として設定した県道仙台松島線、通称利府街道は、高城川の愛宕橋交差点付近の渋滞が著しく、JR東北線のガード部は、通行制限高さが三・九メートルと低いため、特殊車両の通行に支障を来すほか、松島町桜渡戸地区から初原地区にかけては、一部車道や路肩が狭いことから、大型車の安全で円滑な交通確保が課題となっております。県といたしましては、今回の社会実験における迂回路の交通状況も踏まえながら、国道四十五号の代替機能を担う県道仙台松島線をはじめとする周辺道路の機能強化について、引き続き国や松島町、利府町と連携しながら検討してまいります。 次に、都市計画道路玉川岩切線についての御質問にお答えいたします。 都市計画道路玉川岩切線は、JR東北本線塩釜駅と仙台市を結び、仙塩広域都市計画区域において東西軸を形成する、全長約四・五キロメートルの主要な幹線道路であります。このうち、仙台市・多賀城市境から多賀城市浮島に至る約三キロメートルは整備が完了しておりますが、既存市街地を通過する塩釜駅までの約一・五キロメートル区間は未整備となっております。現在、仙塩東部地区の塩竈市、多賀城市、利府町では、当該未整備区間を含め、長期未着手となっている都市計画道路の見直しを行っており、県が実施した仙台都市圏パーソントリップ調査の結果を基に、将来の交通状況の把握とともに、既存市街地に対する影響や都市計画道路整備後の沿道利用など、地域が抱える課題への対応について検討を進めているところです。県といたしましては、引き続き、二市一町が行う都市計画道路の見直しに積極的に参画し、地域が考える将来のまちづくりの在り方を十分踏まえながら、にぎわいと活力にあふれた、誰もが暮らしやすいまちづくりの実現に向け、未整備区間の早期事業化について検討を進めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(池田憲彦君) 八番柏佑賢君。 ◆八番(柏佑賢君) 御答弁ありがとうございました。非常に前向きな答弁もあったかなと思います。ただ、北浜緑地公園は、新しい住宅地も今、もう建設中でありますので、やはりここの完成は、一日も早いとはいえ、二度とこのようなことがないように、しっかりと工事を進めていただきたいなと思っております。また、村井知事は、他県に先んじて新たな仕組みを取り入れていくということで、二月の河北新報に載っておりました。今後、第二のふるさと宮城のために、十年、二十年先を見据えて、県政運営にしっかりと取り組んでいただきたいと願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私の一般質問を終わりにいたします。ありがとうございました。----------------------------------- △休会の決定 ○副議長(池田憲彦君) お諮りいたします。 明日から十二月五日まで三日間本会議を休会とし、十二月六日再開することにいたしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(池田憲彦君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から十二月五日まで三日間本会議を休会とし、十二月六日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。 残余の質疑、質問は、十二月六日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(池田憲彦君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 十二月六日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後二時四十五分散会...